私の絵本体験記

「絵本フォーラム」50号(2007年01.10)より
「私の絵本“失敗(!?)”体験記」
田中 八潮さん(兵庫県明石市)


 私の「絵本体験記」、それは失敗の記である。子どもを授かって、初めて絵本の楽しさを知った私は、絵本のガイドブックを手に入れ、図書館に通い、「よい絵本」と言われる絵本をこの目で確かめ、気に入ると古書店へ。それも1軒や2軒ではない。折あればさまざまな古書店めぐりをし、買い集めていった。『かいじゅうたちのいるところ』を300円で手に入れたときはうれしかったなぁ。どうしても古書店で手に入らない絵本は、書店で購入。そうやっていつも「よい絵本」へのアンテナを張りめぐらせ、あちこち飛び回って集めた絵本、600冊。我ながら、よく頑張った。
  長女が幼稚園のとき、初めて絵本講座を受け、『ほるぷこども図書館』を薦められても、「もうかなりそろっていますから」と断った私。かたくなだったなぁ。自分の選書に自信があったのだろうか。やがて「絵本講師養成講座」を受講。絵本講師となり、『ほるぷこども図書館』の現物を事務局で見せてもらったとき、私は自分の愚かさを悟る。そこには私の知らない絵本、知ろうとしなかった絵本、そして感動がたくさん詰まっていたからだ。結局、私は我が子に、自分の考えや好みばかりを押しつけていたのだった。しかも、膨大な時間と労力とを使って。もちろんそのことを後悔するつもりはない。絵本講師としての私の血となり肉となっている……はずだ。だが、「この本は子どもが幼いころに手渡したかった」という絵本を数多く目の当たりにすると、やはり「しまった……」と舌打ちしてしまう。
  そういうわけで、ハイ、買いました、「こぐまコース」。親子で読み合いっこしています。
  これから子育てされる方々に、大きな声で言いたい! 中身の濃い『ほるぷこども図書館』、お薦めですよ! 労力や時間を使って絵本を探し回ることより、『ほるぷこども図書館』の絵本を家庭でじっくり読んで楽しんでくださいね。

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