私の絵本体験記
「絵本フォーラム」58号(2008年05.10)より
「 絵本に心を支えてもらった 」
半井 美和 さん (大阪府堺市)

 我が子との絵本体験は、8年以上になります。

 私は短大の頃、数多くの絵本と出合いました。卒業後勤めた保育園では読み聞かせに力を入れていて、多くの輝く瞳に出合いました。結婚後、我が子を抱くまでの暗く険しい道、仕事も続ける事の出来ない日々を、絵本の読み聞かせや絵本を学ぶ事で心を支えてもらった私にとって、“我が子と一緒に絵本”という日々は自然なことでした。

 上の子がお腹にいる時、今までの経緯から不安な毎日でした。それを癒してくれたのは、お腹の中の子どもと絵本を楽しむ時間でした。その一冊は『のせてのせて』です。誕生後も上の子は不思議な程好きな一冊になりました。

 感動的な出合いの一つに『しまふくろうのみずうみ』があります。上が4歳、下が2歳の時、字のない場面・梟が湖の魚を捕らえる場面で、下が「パシャッ」「かわいそう」とつぶやきました。子どもに聞こえてくる絵本の声や、版画で描かれる真の動物の姿・静と動を見事にあらわした一冊を何度も見る姿に感動しました。

 また、こんな一冊があります。『三びきのやぎのがらがらどん』です。上の子は怖がってある時期まで読めませんでしたが、いつのまにか好きになった姿に一人一人出合うべき時期が違うこと、たくさんの絵本がそばにあると、その時出合いたい本と出合える可能性が拡がることを感じました。

 絵本は子どもたちの世界を拡げてくれます。『ピーターのくちぶえ』で吹く真似。『ロバのシルベスターとまほうの小石』で冒険を。また、『アフリカの音』では異国を旅します。子どもたちには心の旅をしてほしいと思います。豊かな日々のために子どもたちへの応援歌の思いをこめて、今日も絵本を読む我が家です。(なからい・みわ)

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