リレー

絵本こそが、シンプルで、分かりやすい最良の育児書
(福岡・童具ベビーシッター・若尾 美希子 )


 
 私は、生まれも育ちも沖縄です。結婚を機に沖縄を離れ、大阪へ引越し、現在福岡に住んでいます。沖縄の多くの人は、沖縄県外で住むことをあまり良く思いません。理由はいろいろありますが、県外では、沖縄にいる時のような「人との繋がり」を持つことが、難しいと思い込んでいることが大きな理由です。

 なぜ、沖縄の人が、人との繋がりをそこまで大切にしているかというと「人間は弱いもので、気持ちが落ちこんだ時、本人が辛いと言わなくとも、その気持ちに気付き、しっかりと受け止めてくれる誰かがすぐ側に居ることが必要」だと思っているからです。特に、慣れぬ土地で、若い夫婦が子育てをしていると心配します。その心配は、母親に対してと、子どもに対しての両方の心配があります。母親に対しての心配は、父親は仕事で忙しく、母親が誰にも相談できない環境で、一人で子どもを育てようと頑張り過ぎて、マタニティーブルーや産後うつ、虐待をするまでに気持ちが追い込まれるのではないかという心配です。また、子どもに対しての心配は、どうしても人との繋がりが希薄になりがちな核家族になると、子どもが親と対立して追いつめられた時、子どもの逃げ場がなく、非行に走る前に、親以外の大人がそれに気付いて助けてあげられないという理由からです。

 私は、まだ、子どもは授かっていませんが、大家族の中で育ったおかげで、一人の人間を育てるのに必要な環境が何なのかを自然と学べたと思います。私が子育てボランティアをさせてもらっているのも、母親が日常発する小さなSOSを受け取り、身近にいない親戚に代わって、適時適所で息抜きをするお手伝いをしたいと思ったからです。

 子どもと一緒に楽しく豊かな時間を過ごせる絵本。子どもの想像力をさらに引き出してくれる絵本。子どもが大きくなってから力強く生き抜く為の強力なアドバイザーや親友となる絵本。私は、仕事柄、育児専門書や保育に関する勉強会に参加しますが、絵本こそが、シンプルで、分かりやすい最良の育児書だと思います。

絵本フォーラム61号(2008年11.10)より

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