私の絵本体験記
「絵本フォーラム」68号(2010年011.10)より
楽に生きられるのも絵本のおかげ
作本 由紀恵さん(福岡県福岡市)

 親子で絵本を読むようになり、 15 年近くなります。 4 人の子ども達それぞれに絵本の思い出があり、今でも絵本の深みは増しています。絵本のフレーズをくりかえしていたこと。こわいと言いながら何度も読んだ絵本。「みんなに見せてあげる。」と小さな体で絵本を抱えて持っていった日のこと。絵本につけ加えられたらくがき。成長するたびに遊ぶおもちゃは変わったけれど、リビングにある絵本は、そのままです。

 絵本を読み始めたきっかけは、親のエゴで、早く字が読めるように。生活に役立つように。といった理由で、本好きになってほしかったからだと思います。私が、図書館で本を借りたり、本屋で好きな本だけを買っていたら、最初の思いより発展することはなかったでしょう。こども図書館と出会い、子ども達は、生活の中に絵本があり、しかも自分で絵本を選べる環境ができました。親である私は、絵本を通して子育てのアドバイスを受ける環境が整いました。そのおかげで読み聞かせが習慣になり、親子で絵本の共有体験を積み重ねることができました。会話ができる親子関係は、双方にとってありがたいものです。そして、自分の事を好きと思える気持ちは、なによりも大切なことと思います。

 未熟な親で、日々、悪戦苦闘していますが、そんな私でもいいや〜と楽に生きれるのも絵本のおかげで、絵本に出会って一番よかったのは、私自身かもしれません。

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