私の絵本体験記
「絵本フォーラム」70号(2010年05.10)より
「絵本がつないでくれた親子の絆 」
水藤 順子さん (兵庫県西宮市)

 長女が生まれた頃、地域の親子サークルやイベントに足繁く通いました。「お話し会」にもいくつか行きましたが、どういう訳か物足りない。家でも絵本をと思うけれど、読み聞かせってどうやったらいいの?それに数年毎の転勤を考えるとなかなか本も増やせない…けれど長女4歳、次女1歳の時に、絵本講座、そして「絵本講師・養成講座」との出会い。

 子どもにとってはお父さんやお母さんの声が一番、いつでも絵本を手に取れる環境を、と知った時、肩の力が少し抜けた気がしました。思い切って大きな本棚を購入し、絵本のスペースも増やしました。その後は毎晩、枕元に積まれた 10冊ほどの絵本を読み『だいすきひゃっかい』(岩崎書店)『ずーっとずっとだいすきだよ』(評論社)と一人一人を抱っこして、おやすみなさい。日中、ケンカをしたり、叱りすぎてしまった日でも、寝る前の一言でお互いに幸せな気持ちを取り戻して眠りにつき、一日を終えるようになりました。

 昨春、長女が入学、次女が入園、そして夏に三女が誕生。家事に追われて、しばらくの間は絵本を読む時間が激減しましたが、支部「絵がお」の活動で気合いを入れ直しました。

 近頃、生後半年を過ぎた三女を膝に座らせて絵本を開くと、キャッキャ!と声をあげて喜ぶようになりました。触ったり、めくったり、時にはなめたり…。また、長女自作の絵本(「はばたきの会」交流会で、梅田俊作先生に見て頂くことができました)と、夫が『わたしのおうち』(あかね書房)にヒントを得て作った段ボールの家も、我が家の新しい宝物。

 今では書斎にある「ミニ水族館」(亀やイモリなど)と、リビングにある「ミニ文庫」に娘たちのお友達(時には母たちも)が時々「来室」してくれるようになりました。

 これからも絵本と共に家族の幸せな時間を、丁寧に紡いでいきたいと思います。(すいとう・よりこ)

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