私の絵本体験記

「絵本フォーラム」75号(2011年03.10)より
「絵本からひろがる子ども達の世界 」
 松本 愛さん (東京都三鷹市)


 「最初に公園に行く?それとも図書館に行く?」
そんな問いかけをすれば、高い確率で図書館を選ぶ4歳の息子。
 起床、ごはん、着替え、通園、外遊び、お風呂、就寝。
規則正しい生活を心がけながら、その間に絵本と触れ合う時間を自然に取り入れるようにして来ました。
公園に絵本を持参したり、時間があれば図書館や書店に立ち寄ってみたり。
生活の中に、自然に絵本が溶け込み、それが当たり前のリズムとして生活に刻むこまれて行きました。
  そして、その時間こそが、自分にとってほっとする癒しの時間でもあるのです。
  4歳を過ぎ、妊娠をきっかけに卒乳をし、1人遊びも上手になって、日中甘える事が少なくなった息子と、
お互いが自然に身体を寄せ合いくっつき合える時間。
 
 絵本を読みながら、選んだ絵本から「今この子はこんな気分なのね」と想像してみたり、柔らかい子どもの肌を堪能してみたり。
するとまるで赤ちゃんに戻ったみたいにピタッと私の体の中におさまって、安心した表情で絵本の世界に飛び込んでいるのが分かります。
絵本の隅々まで目で追い、真剣で表情豊かな顔を覗き込むのも、幸せな一時。
 
 また、私は東京生まれの東京育ち。田舎もなく、自然とは無縁の中で育って来ているので、絵本の中の自然豊かな風景や昔ながらの行事、遊びは子育てのバイブル。私自身も知らなかったことが絵本の中で体験出来ます。
 そして、「次の週末にはこの絵本のような遊びをしよう!」「お家に帰ったら、こんなお団子を一緒に作ろう!」などと、実際に子どもと一緒に体験するヒントをいっぱいもらいます。
 
 絵本は私と子どもの共通の趣味みたいなもの。
いつまで一緒に読めるのかな、と時々寂しくもなりつつ、「もうママが読まなくてもいいよ」と言われるその日まで、しつこい位にくっついて、子どもと一緒にメルヘンの世界へ旅に出るつもりです。(まつもと・あい)

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