おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第76号(2011.05.10)









『とかいのねずみといなかのねずみ
  あたらしいイソップのおはなし』 
カトリーン・シェーラー作 関口裕昭訳
  光村教育図書

 イソップ寓話「田舎のねずみと町のねずみ」の絵本化。ただし、町が恐ろしいところだという結末ではなく、田舎も町も危険とともにすばらしい点もたくさんあるというメッセージになっています。パステル、水彩、コラージュを使って、ねずみの視点で描かれた田舎と町の危険の状況には迫力があり、それぞれの夜と朝の美しい風景と対照的です。また、ねずみの表情もいきいきとしています。(税込価格 1575 円)


『わたしドーナツこ』
井上コトリ作 ひさかたチャイルド

 ドーナツやさんの一人娘の名前は「どう なつこ」。なつこはこの名前が好きではありません。学校へ行く日、からかわれないかと心配しながら朝起きてみると、からだがドーナツに変身していました。学校へ行ってみると、思ったとおりからかわれましたが、同じクラスに「あんどう なつ」というパン屋の娘がいて、二人は友だちになります。ナンセンスなストーリーが柔らかな色と筆遣いで描かれているユーモラスな絵本です。(税込価格 1260 円)









『ねむれないふくろうオルガ』
  ルイス・スロボドキン作 三原泉訳 偕成社

 ふくろうのオルガは片目をつぶってみても両目をつぶってみても眠れません。そこで、オポッサムの言うとおり木にぶらさがってみたり、こまどりのように細い枝に片足で止まってみたりしますが、眠れません。するとつぐみが、ささやくように歌をうたっていると眠れると言います。オルガは歌を最後までうたう前に眠ってしまいました。眠れない子どもの気持ちをふくろうに託して、巧みに表現しているユーモラスなおやすみ絵本。(税込価格 1260 円)


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