私の絵本体験記

「絵本フォーラム」77号(2011年07.10)より
懐かしい絵本との再会で
清水 果子さん(高知県高知市)


 息子が2歳のころ、久しぶりに実家へ帰省したら、母が孫のために絵本コーナーを作ってくれていました。
  すべて私と妹が幼い頃に読み聞かせてもらっていた友達のような絵本たちです。阪神大震災で被災した時に、色々な物を処分したのですが母にとっても大切なものだったのでしょう。懐かしい絵本との再会でした。
  私のファーストブックは、『ちいさなうさこちゃん』。赤ちゃんのころから何度も読み聞かせてもらい、ある日、幼い私がハイハイをして青い表紙のその絵本を取りにいき、成長を感じ驚いたというエピソードがあります。また『いもうとのにゅういん』は、私の妹が幼稚園の頃入院し、主人公のあさえちゃんに自分を重ね合わせて読んでいました。
  時にはケンカをしたり、幼くて歯がゆい存在だったりすることもある妹が病気になることで、どれだけ大切な存在かに気付き心配し、姉として成長していく姿は当時の私そのものでした。久しぶりの絵本を母と妹と読み返して、登場人物が若い頃の母や幼い頃の私たちにどことなく似ている表情をみて笑ったり、持っていたお人形もソックリだったねと話したり、幸せな昔話に花が咲いたのでした。
  息子も実家にある絵本は大好きで、3世代にわたって絵本の時間を楽しんでいます。母になった今、また子育てを通して素晴らしい絵本との出会いがある日々に感謝しています。
  毎日、息子に絵本を読んでといわれるのは嬉しいこと。興味のある絵本も、乗り物だったり恐竜だったりと私の幼い頃とはまた違う絵本の世界を楽しんでいます。心強い育児ツールとして素敵な絵本の力を信じ、私も母のように沢山の絵本との出会いを息子に作ってあげたいと思っています。(しみず・かこ)

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