私の絵本体験記

「絵本フォーラム」90号(2013年09.10)より
穏やかな時間こそ大切
林 恵美さん(神奈川県川崎市)


 私の絵本の思い出は『きょうのおはなしなあに』(ひかりのくに)という1年間毎日1話の構成で、全てのお話に素敵な挿絵がついた大型の絵本を両親が読み聞かせてくれたことです。娘が10カ月の頃、絵本講師の方と出会い、選び方や絵本の大切さを実感することとなりました。初めての子育てが無ければ絵本は子どもの物、両親が読み聞かせてくれた記憶で終わっていました。
 現在2歳8カ月の娘は、眠る前に2冊、甘えたい日は3冊の絵本を選び待っています。『あさえとちいさいいもうと』、『はじめてのおつかい』(筒井頼子/作、林明子/絵、福音館書店)は頻繁に選びます。姿が見えなくなった妹を公園でみつけホッとしてママと3人手を繋いで帰るところ、転んですりむいた足に絆創膏を貼ってもらうところ、お店に入り気づいてもらえた安心からポロリと涙を流すくだりでは涙を探します。
 ここ半年は『そらまめくんのベッド』(なかやみわ/作・絵、福音館書店)を豆の本と名付けお気に入りです。この春そらまめの皮をむき、綿のようなふわふわベッドを見て触って大喜び。絶好のタイミングで、ピアノ伴奏つきの読み聞かせ&そらまめパン作りに参加したのですが、冒頭、「るんちゃんの好きな本!」と大きな声で発言したのには驚きました。
 つい喜ぶ顔見たさに外出を増やし、習い事をさせ、心も体も疲れてくると絵本に救いを求め、この穏やかな時間こそ大切だったのよと反省。そして感謝。また、どんなお気に入りの1冊が増えるのか、娘の成長と共に楽しみです。(はやし・えみ)

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