私の絵本体験記

「絵本フォーラム」98号(2015年01.10)より

宝物のような時間を大切にして

島田 明日香さん(愛知県名古屋市)

島田 明日香さん体験記"

  3才の息子は『よるくま』(酒井駒子/作・絵、偕成社)が大好き。就寝前、どんなにたくさん読んだ後でもこれだけは譲れないようです。最後の一文《だから きょうは、もう》を読むと、嬉しそうに「お・や・す・み!」と言ってやっと布団の中へ。 日中もフトした拍子に始まる「絵本ごっこ」。《あのね きのうのよるね、うんとよなかにかわいいこがきたんだよ。》と息子が言えば、私は台本(絵本)どおりに返さないといけません。適当に返そうものなら監督(?)に怒られてしまいます。  

 このような息子ですが、2歳を少し過ぎた頃からしばらくの間「じぶんでよむ!」と、妊娠5ヶ月から始めた読み聞かせを一切拒否していました。ところが同時期にタイミングよく、と言うよりも運よく「絵本講師・養成講座」(まさに私の流れ星!)がスタート。講座受講後からは「絵本を一緒に読む時間を楽しみ大切にしよう」と息子の心に寄り添って読むようにした途端、また嬉々として絵本を次々と持って来ては私の膝の上に座るようになりました。実はそれまで読み聞かせは「感性が豊かになり言語獲得も早まる。それが息子のためになる」と考えしていたのです。子どもの鋭敏さに感心すると同時に「読み聞かせとはなんて幸せで心安らぐ時間なのだろう」と実感し、気づいたのです。ああ、これこそが息子が求めていたものだったのか……と。私の可愛い「よるくま」との宝物のような時間、これからも大切に大切にしていきたいと思います。
(しまだ・あすか)

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