<俊作先生と絵本を作ろう>

夏の激しい日差しが穏やかな流れの芦屋川に降り注いでいます。見上げると、六甲山系が黒いシルエットを描いています。

7月27日(日)。「はばたきの会」交流会<俊作先生と絵本を作ろう>が芦屋川沿いに建つ芦屋市民センターで開かれました。

午前9時半過ぎ、会員38名・子ども28名が色紙・画用紙・のり・サインペンなどを携えて、そして大きな期待と不安も一緒に携えて全国各地から集まったのです。

 ほとんどが初対面である子ども達は、まずは名札作り。自分で書いた名札を胸に張るともう以前からの友達のようにおしゃべりしあう子も。さすが、です。

大人たちは「お久し振り〜」「元気だった?」「手作りに、自信ないのだけど〜」「梅田先生!」等々、久 闊を叙す 会話が弾みます。

梅田俊作・佳子ご夫妻も早めに会場に来てくださり、早速サイン会の始まり、始まり!

ああ、なつかしい。ささっと描いてくださる似顔絵は、本人よりもだいぶ美人!ハンサム!

梅田先生の優しさを感じます。

先生がわざわざご自分の絵本を会場まで持って来てくださったので、絵本販売も行われました。私も以前から欲しかった『学校やすんでとうさんと』(岩崎書店)を購入。先生のアトリエにあった絵本だと思うと(勝手にそう思っている!)、なんだか特別なもの・神聖なものに思えるから不思議です。

さてさていよいよ「絵本作り」の始まりです。

まずは俊作先生が絵本『宇宙船地球号』(ポプラ社)を高く掲げて見せてくださいます。表紙を開いて裏表紙とくっつけると、・・・!なんと丸い地球が飛び出してくるのですよ。

「おお〜っ」という歓声とともに「す、すごい。と言うか、あんなの作れない!」と、かなり引いてしまった人、多数。

でもご安心あれ。そんな高度なコトを俊作・佳子先生は私たちに要求していませんでした。

まず、画用紙を二つ折りし、真ん中に切れ目を入れ・・・、と教えられるままにやっていくと、アラ不思議。“口”のようなパクパク開く仕掛けが出来上がります。あとはそれを利用して、それぞれが自分の絵本を作り上げていくだけです。

でもね。悲しいかな。トシを重ねカタクなってしまったアタマでは、そう簡単にアイデアは浮かばないのですよ。

本能のままに (?) 次つぎと貼り付け、書き込み、「出来た〜」と明るい声を張り上げている子どもたちが怨めしい。いや、うらやましい。

我が息子は、悩み過ぎてかたまってしまい、俊作先生に「ずっと考えていてもいいんだよ。急いで作らなくてもいいんだよ」と声をかけてもらっていました。

ナルホド・・・、「早く」「上手に」「失敗しないで」と、日ごろ無意識に自分をがんじがらめにしているものを、今日は全部かなぐり捨てたらいいのね!?

そういえば、最初に俊作先生もおっしゃっていた。

「いつもはしちゃいけないって言われていることを、今日は思いっきりしよう!

いっぱい失敗しよう!」って。

もしかしたら、この「絵本作り」は、自分を解放してあげる作業なのかも。

周りのルールや“常識”からいっぺん自由になったとき、本当の自分や自分のやりたいことが見えてくるのかもしれない。

 絵本作りをしながらそんなことを考えた、なんて言いません。作るのに必死でしたから。ただ、帰宅してふっと思ったのです。

目の前のこの手作り絵本そのものもそうだけれど、あの必死で夢中だった2時間が愛おしいなぁって。

2時間が過ぎ、出来上がった人・途中までの人・まだほとんど出来ていない人、様々でしたが(“品評会”・“見せあいっこ”もなし!今回は人に見せるために作ったというよりも、自分のために作ったのですものね)、きっとそれぞれが自分を解放し、“幼子”の心にちょっぴり戻っていたと思います。

気づいたら俊作先生・佳子先生の“思うツボ“にしっかりはまってしまっていた、という感じでしょうか。

ひとつ残念だったのは、佳子先生の“読み語り”が、なかったこと。

次回はぜひお聞かせ願い、じいんと心を震わせたいものです。

 8月30・31日は梅田先生のアトリエ訪問が企画されています。

今回で少し心を解き放した“大きな子どもたち”が、次は全身全霊解放しまくり、エネルギーを爆発させて、とんでもないことをしでかすのでは、とニヤついているわたしなのでした。

                             報告・田中八潮 (芦屋1期)



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