伊座利ツアー報告

2012年夏(第4回)

<「いざりキャンプツアー」漂流記>

           2012、夏、伊座利キャンプリポート

*いよいよ、出発!

 まだまだ暑さが衰えない8月最後の週末、
いよいよ出発です! ‘はばたきの会・伊座利ツアー’
2歳の息子と2人で参加してきました。

東京から参加する家族は、私と息子だけ。
普段はなかなか交流することが難しい関西の絵本講師の方々と子どもたちと一泊一緒に過ごせることにもうドキドキしながらJR芦屋駅前に止まっている大型バスに乗り込みました。
奥の座席にはニコニコ笑い合っている子どもたちの姿が。
大きなお姉ちゃんもいる。みんないくつぐらいだろう?
そんなことを考えているうちにバスは総勢34名を乗せて出発、自己紹介が始まりました。
「3年、4年連続家族で参加しています!」
「川遊びを楽しみに参加しました!」「頑張ってお手伝いします!」
など、みんなそれぞれに自己紹介を終えると、息子が奥の座席に座っているお兄ちゃんお姉ちゃんたちが気になるようで、身を乗り出し振り返って羨ましそうに見つめています。それを見た舛谷さんが「行かせてあげたら」と言ってくださり、不安な私をよそに、息子は嬉しそうに後部座席のみんなのもとに向かいました。
雲一つない青空のもと、子どもたちによる明石海峡大橋、鳴門海峡大橋のガイドを聞きながらバスは順調に走ります。後ろからはみんなの楽しそうな笑い声が聞こえてきます。一緒に笑っている息子は、次に止まった道の駅「那賀川」まで私のところには帰ってきませんでした(笑)。

道の駅「那賀川」に到着。夜のバーベキューにいただくお野菜などを買います。ここで待ち合わせをしている梅田先生ご夫妻を待つ間、バスの中で絵本の読み聞かせが始まりました。読み聞かせするのはもちろん梅田先生の絵本!
今回のツアー初参加の山本昌美さんと私、嬉しくもご指名をいただき? 読み聞かせタイムです。梅田先生の絵本のなかでも一番好きな『おかあさんもようちえん』(梅田俊作・佳子/さく、「絵本で子育て」センター)を読み始めると、大人たちも子どもたちも身を乗り出し始めます。こういうバスの中でも読み聞かせができる! やっぱり絵本は素敵です。
次に、山本さんが『みんなかわいい』(文/内田麟太郎、絵/梅田俊作、女子パウロ会)を読み始めると、山本さんのお子さん、ひなちゃんとかずはくんが最前列へ。かずはくんはマイクを持ってお母さんを手伝います。そんな姿も愛らしく、「ああ、やっぱり絵本は親子の絆を強くしてくれるんだな」としみじみ思う私でした。バスの中での読み聞かせタイムが終わって、梅田先生夫妻が到着され、いよいよ先生のアトリエに出発です!

*梅田先生のアトリエ・日和佐川にて

キラキラと太陽に照らされる海を見ながら走ること30分ほど、徳島県海部郡日和佐町にある梅田先生のアトリエに到着しました。
山裾に広がる田んぼと、緑の中を流れるせせらぎの音を聞きながらアトリエに入ると、子どもたちは早速川遊びの準備にかかりました。梅田先生も一緒にカヌーを抱えてアトリエからすぐの日和佐川へ向かいます。
川底すべてがクリアに見えるほど美しく澄み切った川!
子どもたちはボートに乗ってはひっくり返り、全身を流れに身を任せてとても気持ちよさそう。息子も、お兄ちゃんたちと一緒にボートに乗り大はしゃぎ、足を浸けているだけで、気持ちまで涼やかになっていきます。

さて、アトリエに戻ると、夏の風物詩・流し素麺でお楽しみ。
みんな川遊びで心地よい疲れにお腹もすいていて、流れ落ちる素麺に一生懸命です。
お腹も落ち着いたところで、アトリエの中にみんな座りました。
梅田先生ご夫妻が、なんと私達が訪れる前日に出来上がったばかりの、まだ原画の絵本を読み聞かせしてくださったのです。
地震が起きて津波がやってくる。去年の大震災から、私達は自分で判断して自分で行動するということがとても大切だと……。
佳子先生の読む声に耳を傾けながら、子どもたちもじっと絵を見つめています。美しい川で楽しい時間を過ごした後だからこそ、心に直接入ってくるメッセージ。またいつやってくるか分からない震災に、私達はどう向かいあっていくのか。
読み聞かせの声と一緒に鳴いている蝉の声が大きく響いたように感じました。

*伊座利キャンプ場へ

私達が伊座利に向かった8月最後の週末は、日本に台風が近づいていました。伊座利漁港の波は高く、海で遊ぶのは残念ながら断念、急なカーブ連続の狭い道の中、運転手さんの見事なハンドル捌きで無事、宿泊する伊座利に到着しました。
子どもたちはみんな率先して、大広間や廊下の掃除機をかけ、次々に雑巾がけをして早くもお掃除が終わり、大人たちの素晴らしい連携プレーでバーベキューの準備もすぐに整いました!
みんな待ちに待ったバーベキュー! 私は、梅田先生にイカを焼くという大役をいただき、汗をかきかき「イカ焼き母ちゃん」に。
甘くて味がぎゅっとしまった蛸にすだちをかけていただいては、打ち寄せる大きな波しぶきを見てお肉が焼けるのを待つ幸せな時間。
息子もお兄ちゃんたちの後をきゃっきゃと追いかけて、また戻ってきてはお肉を頬張って、本当に嬉しそうです。
去り行く夏を惜しむように、花火をしながらスイカをたらふく食べてお腹いっぱいの私達。
夜になると広がっていた雲が流れはじめ、輝く半月と零れ落ちそうな星空が見えはじめました。
来て良かった。本当に良かった。星空を見ながら、涙が出そうになりました。

夜が深まっても、遊び疲れているはずの子どもたちのテンションはまだまだ高く、小さな子どもたちも走っては毛布にごろんを繰り返し、お兄ちゃんやお姉ちゃんたちが団扇であおぎながら優しく寝かしつけていきます。
私も一緒に横になりながら、みんなとお喋り。
「明日は釣り出来たら良いなあ……」
「早く結婚して、子どもは欲しいねん。小さい子、めっちゃ可愛いなあ」
「ねえ、大学行った? 楽しかった??」
息子の寝顔を見ながら子どもたちは色んな話をしてくれました。
「そうやねえ、晴れて海に入れたらいいねえ」
大人も一緒に一人、また一人と眠りについて、伊座利の夜は更けていくのでした……。


*再び日和佐川での川遊び

翌日の朝は、梅田先生と佳子さんもいらっしゃって、たくさんのおにぎりとお味噌汁をみんなでしっかりいただいたら、子どもたちは早くも汗だくになって遊びだします。追いかけっこや卓球をしたり、梅田先生と絵を描いたり。子どもたちの遊びのパワーは無限大です。

お世話になったお部屋をきれいにして、私達は伊座利漁港へ。
地元の漁師さんたちと話をして、子どもたちは浅瀬でザリガニや魚を採って。
波が高くて海には入れなかったけれど、胸いっぱい伊座利の空気を吸い込んで梅田先生のアトリエへ移動です。

川遊びをし、みんなで岩に座り食べるカレーの何と美味しいこと! 
用意してくださった伊座利カフェのみなさん、ありがとうございます!

思う存分川遊びをしてアトリエに戻ると、梅田先生が特別に絵本にサインと横顔を描いてくださいました。「正面からの顏は照れるから、横顔がいいなあ」
大人も子どもも嬉しそうに横顏を梅田先生に向けています。
描いていただいた似顔絵を見て、「去年より大人っぽくなってる〜!」
「お母さんにめっちゃ似てる!」何度も覗き込んでは絵本を抱きしめます。
みんなの笑顔が溢れた優しい一時でした。
最後にみんなで記念写真をパシャ!

初めて参加した伊座利ツアー、
両手を広げて受け止めてくれた伊座利の壮大な自然に、梅田先生ご夫妻に、心から感謝しています。
今回のツアーでは、私自身何もお手伝いすることも出来ず、みなさんの優しさにどっぷり甘えてやんちゃな息子の面倒も見ていただきました。ツアーの企画や食材の準備など、大変な作業をいろいろとしてくださった事務局のみなさま、本当にありがとうございました。
はばたきの会34名みんなが兄妹家族になった幸せな1泊2日、
最高でした! 来年の夏が今から楽しみです!!                 (さわ・みよこ)

報告者・澤美代子(東京8期)


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