はばたきの会交流会


<2017年度・第2回絵本講師の会 東京交流会報告> 
(2017/11/26・
東京八重洲ホール)


「くりかえし、なんどでも、はばたく先を確かめる」

「絵本講師の会」交流会で、先輩絵本講師の皆さんにお会いし、その活動ぶりを伺うのはどきどくわくわくの楽しみです。保育の現場で、語学教育の場で、プロとして、地域ボランティアとして、自宅で、ラジオで、ブログで、SNSで「絵本で子育て」を伝え広めようと日々取り組んでいらっしゃる仲間が集まるのです。他の絵本講師がどのように活動をしているかを知ることや、どのような講座を展開しているか実演を見ることは、たいへんな刺激です。

 また、森ゆり子理事長や藤井勇市顧問のお話を伺うと、「絵本講師・養成講座」受講時を思い出し、胸の奥底で眠りかけていた感覚が呼び覚まされる気持ちもします。勇気とやる気を持ち帰り、自分なりの方法で半歩でも進もう!と思えます。

 2017年11月26日(日)東京八重洲で開催された「絵本講師の会」(はばたきの会)東京交流会。 司会 中田朋子 ジェリー・マーチン
司会は、中田朋子(東京7期)ジェリー・マーティン(東京8期)。

  今回の東京交流会は、関東圏のみならず、山形県尾花沢市、宮城県仙台市、富山県富山市、長野県茅野市、京都府木津市からも絵本講師が集まって、総勢16名(うち男性2名)。
あいさつ 森 ゆり子 まずは、森ゆり子理事長のごあいさつから。 自殺願望を持つ若者が増えていること。昔ばなしを知らない、子どもに言葉がけができない大人が増えていること。絵本を道具にして、家庭に言葉を取り戻すことを伝える絵本講師の働きが求められていること。街を歩けば絵本講師に行きあたるぐらい、仲間を増やしたいとのお話でした。また、大人がよき導き手となって、子どもに出会ってほしい本を紹介してほしいとマンガ版『君たちはどう生きるか』を紹介されました。

 今回も、絵本講師として活き活き活動されている二人の方の、絵本講座の実演がありました。講座実演 鈴木 哲子 午前の部の講師は、鈴木哲子さん(東京2期)。シックなニットアンサンブルの上品ないでたち。温かみの感じられる東北のお国言葉で、やわらかく穏やかに話される様子に安心感がありました。「赤ちゃんに寄り添う絵本の読み聞かせ」と題して30分の講座です。

 薄布を使ったわらべうた遊びから始まります。手の中に薄布を丸めて隠し持ち「に〜ぎりぱっちり」と歌いながら、そっと手を広げるとふわっと布が広がる楽しい遊びです。「いないいないばぁ」同様に、単純な発見の繰り返しが子どもとおとなのコミュニケーションを促します。

 次に童謡でおなじみの『ぞうさん』(こぐま社)、ペンギンの動きをまねっこする『ぺんぎんたいそう』(福音館書店)など、単に読むだけでなく、あそび体験につながる絵本を読み聞かせ。

 また、『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)『マリナと千冊の絵本』(いのちのことば社)といったノンフィクションの参考図書も紹介されました。

 研究者の言葉や養育の記録といった具体例を挙げての説明は、小さな子どもと暮らす人の不安をやわらげることにつながると思いました。鈴木さんのように、おおらかに優しく話してもらえたら、初めての育児で不安な方も安心して相談できそう。
講座実演 内田 早苗

 午後の部の講師は 内田早苗さん(東京7期)。ざっくりとしたオフホワイトのセーターにオリーブ色のロングスカート。デコルテが素敵。今回は「幼稚園・保育園等職員研修 絵本講座」を60分で。

 この講座で話すことは著作権フリーですから、どんどん使ってくださいね~との宣言も。精力的に絵本講座の場を開拓し、場数を踏んで、乳幼児を育てている方々と多く接していらっしゃっただけに、語り口に引き付けられます。園と家庭で切れ目なく絵本の読み聞かせをつなげるために、園の先生方に家庭へ働きかけていってほしい事柄(絵本の選び方、絵本がコミュニケーションの道具であること)がきれいに整理されていました。

 2歳の子どもが『きかんしゃやえもん』(岩波書店)の不機嫌なやえもんのセリフ「ぷっすん、ぷっすん」を使って、自分の気持ちを表現しようとしたエピソードでは、子どもが言葉の使い方を獲得するには、絵本の言葉を場面ごといったん心にため込むことが大切であるということがわかりました。カードなどでは単語は覚えられても、自分の思いを表現する言葉の使い方は身につかないのです。

 わたしが特に印象深く思ったのは、絵本の読み聞かせをほとんどしていなかったおかあさんが、早苗さんのアドバイスで選んだ絵本を子どもに読んであげたことで「子どもの望むことをしている実感を持てた」と、早苗さんにメールで報告されたことです。子育てになにかしら不安や自信のなさを感じていらっしゃる若い方が「これでいい」と思えるようになることが、絵本講師の使命です。絵本が人と人をつなぐ道具であることを実践の中で体得されているのだなと感じました。 あれやこれやといまおもうこと 藤井 勇市

 藤井勇市顧問のお話をうかがうのも久しぶり。
「あれやこれやといまおもうこと」と題されたレジュメをいただきました。いきなりご自身の体形が一日で激変された話題に驚きました。養成講座受講時もそうでしたが、大人が「絵本」を子どもに手渡すとき、「絵本」を通して子どもに何を教えようとしてはいけない、と力説されていたように覚えております。子どもの育ちと社会のあり様は切り離せないのです。

 また、マスコミが何を報道しないのか……そこのところに注目して、自分でしっかり考え続けられるようにと思いを新たにいたしました。レジュメに記載されたたくさんの参考図書のうち『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)を読んでみようと思います。

グループワーク 1 午後はこのほかに、二つのグループに別れてのグループワークもありました。
 わたしがいたグループでは、絵本講座を回数こなしていらっしゃる方が多かったです。講座を開催する場はあるけれど、集客が一番難しいということ。子育て中の世帯で、あまり絵本の読み聞かせに関心のない方々にどうやって絵本講座を届けるか、試行は続きます。

 SNSの利用も手軽なようで、案外振り回されたり時間を取られたり良し悪しはあります。けれグループワーク 2ど発信は続けた方がいいと思います。いつか、だれか必要とする人につながるかもしれませんからね。

 なかなか悠々とははばたけないけれども、倦まずたゆまず絵本講師はその羽を震わせ続けるのです。

 

追伸:交流会終了後、神保町の書店にて絵本講師の先輩にばったり出会いました。「街を歩けば絵本講師に行きあたる」森理事長のおしゃっていたことが、実現してるではありませんか!?
(ふじた・かずみ)



 (交流会リポート・ふじた・かずみ・東京11期) 藤田 一美

 



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