神戸新聞 人探訪から

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神戸新聞 ひと探訪 
2014年(平成26年)3月30日 日曜日
NPO法人「絵本で子育てセンター」
理事長 森 ゆり子さん

絵本の魅力伝えたい 1200人の「講師」養成

 主宰する「絵本講師」の養成講座は今年11年目に入った。絵本の歴史や読み聞かせの意味などを学ぶ受講生は1200人を超える。

 著名な絵本作家らが登壇するなど、授業の評判は口コミで広がり、講座を東京でも開催するようになった。「絵本講師を全国に広めたい」と目を輝かせる。

 広島県出身。大学卒業後、出版社に就職、大阪に勤めた。多忙な毎日で何よりも楽しみにしていたのが絵本の読み聞かせ。芦屋の自宅へ戻り、ベッドで子どもに寄り添う、わずかな時間が心を満たしてくれた。

  「ページをめくり、一緒に感動したり、悲しんだり。親子で感情を共有することができた」

 出版社が倒産し、当時の同僚らと読み聞かせの活動を始めた。2004年には芦屋を拠点にNPO法人「絵本で子育て」センターを発足。持ち前の行動力で、とよたかずひこさんら絵本作家や児童文学者、ジャーナリストらを訪ねて回り、講師を依頼した。

  講座では「視野を広く持ってほしい」と社会問題も取り上げる。東日本大震災後、メンバーと京都大学原子炉実験所(大阪府熊取町)を見学。「放射性廃棄物はゼロにできない」と聞き、「子どもたちのためにも、私たちはもっと学ばないといけない」との思いを強くした。

  穏やかな口調はいつも変わらない。今でも94歳になる母や長男(35)に絵本を読むこともあるといい、情感を込めて語りかける。「読んでもらう心地よさは大人も子どもも同じ。大切な人とのつながりを感じられるはず」。 61歳。芦屋市在住。
                                                         
                                                           記事・前川茂之 写真・笠原次郎

(横顔)
お気に入りの絵本は、ゴリラの子どもとその家族の愛情を描いた「ちびゴリラのちびちび」(ほるぷ出版)。

3月から始まった絵本講師養成は引き続き受講生を募集中。同センター0797・38・7516


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