リレー

子どもの心の隅に残るもの
(兵庫・甲東小学校・図書ボランティア)


 「おはようございます。今日はお話しバスケットの日です」水曜日、25分休みの校内放送で読み聞かせが始まります。
 図書館で始まった小さな読み聞かせが、少しずつ広がって今のお話しバスケットになりました。「最初は少しだった子ども達がどんどん増えていくのが、すごくうれしかったよ」と、その頃を知っているメンバーは教えてくれました。
 決められた場所と時間で人数が多くなれば、それなりの問題もでてきます。本の選び方、練習不足など不安な点も多くあります。
 けれど、視聴覚室に集まった子ども達は、いっしょに声を出してくれたり、驚いたり、喜んだり、本の主人公になりきって楽しんでくれます。最初は、下を向いたり、おしゃべりをしていた子どもが、途中から目を輝かせて聞きいってくれるのが、私達の励みになっています。
 「その本はどこにあった?」と尋ねてくる子どももいますし、本のリクエストもあります。外で遊ぶのに夢中で、自分のおかあさんの読み聞かせが聞けなかった、「ごめんね」と、泣きながら終了後にやって来た1年生もいました。「あっ、どっかで見たことあるおばちゃんや」と話しかけてくれる子どもの心の隅に、おばちゃんが拙く読んだ本が残っていてくれればと、思います。
 さあ、次の水曜日にはどんな本を読もうかな。
絵本フォーラム27号(2003年3.10)より

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