リレー

小さな悩みが大きくならないよう手助け
(兵庫・塚口北保育所所長・北野 寿美恵)


 保育所の地域の子育て家庭への支援は、子どもと子育て中のお母さん、お父さん、そして、孫育て中のおばあちゃん、おじいちゃんの出会いの場、おしゃべりの場として、保育体験学習(保育所生活の体験)や園庭開放(遊び場の提供)、育児相談、出前保育(地域の広場で遊びを提供)などを行っています。
 あるとき、保健センターから、子どもがご飯を食べないと悩んでいる母親に園庭開放を紹介したとの連絡があり、夏の暑い日、一組の親子がやってきました。1歳のKちゃんは新しいものへの好奇心から、笑顔でトコトコ歩き回っています。母親は活発に動き回る我が子に少々戸惑いながら、追いかけています。その日は、家庭での食事の様子を聞いた後、次回はお弁当を持ってくるように提案しました。そして当日、1歳児のクラスで食事をしてもらい、担任からは具体的な食事のアドバイスをしました。他の親子との交流は苦手な母親も、それをきっかけに、園庭開放に仲間入りしました。5カ月後の、商業施設「さんさんタウン・スカイコム塚口」での出前保育では、早くからベンチに腰をかけているKちゃん親子の姿が見られました。母親に友達ができ、誘い合わせて参加するその様子を見て、私たち子育て応援団はとてもうれしく思いました。
 「子どもと一緒に遊びに行く場所がない」「トイレトレーニングはいつから始めたらいいの」「引っ越してきたばかりで友達がいないんです」「主人が忙しすぎて話を聞いてくれない」など、ちょっとした悩みも、身近に相談する人がいないと大きくふくらんでしまいます。そのようなとき、保育所は育児のアドバイスや遊びの紹介など、きっと子育てのお役に立てると思います。
絵本フォーラム29号(2003年7.10)より

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