リレー

絵本が取り持つ親子のきずな
(山形・山辺町教育委員会社会教育指導員・大石 栄子)


 山辺町には、親子が自由に活用できるプレイルームが中央公民館にあります。親子の自由空間の場、親子同士・子ども同士のふれあいの場として、楽しく遊びや交流の輪が広がってほしいという願いから、昨年、開設されました。
 その環境の一つに絵本コーナーがあり、発達に即した絵本がたくさんそろえてあります。気軽に絵本を手に取り、見たり読み聞かせする中で、親子のふれあいの第一歩になればと思っております。
 先日、プレイルームに立ち寄ったとき、数組の親子が利用していました。遊具で遊んだ後は、どの子どもも絵本を手に取り、お母さんのひざの上で読んでもらおうとおねだりをします。それに快く応えて、読んでくれるお母さん。また、同じ本を何回もせがむわが子に対して、「○○ちゃんはこの本が大好きなのね」と語りかけ、また読んでくれるお母さん。子どもと一緒にお母さんたちも絵本を楽しんでいる様子でした。
 そんな親子の姿から、子どもの心に寄り添い共感し合うことの大切さを教えられました。また、このような親子関係の積み重ねが、豊かな心や考える力をはぐくむ源につながるのではと確信させられたひとときでした。
 私の子育ても、絵本の読み聞かせを大切にしてきました。嫁いで1年になる娘の誕生日には、今も絵本をプレゼントし喜ばれています。娘も、友人の出産祝いなどには絵本をプレゼントしているようです。「なぜ絵本なの?」と聞くと、「絵本はテレビと違い、空想の世界に入れる。夢と想像が無限に広がっていき、楽しくなって、優しい気持ちになれるから。母の生の声が耳元で聞こえる……。今思うと、親の愛を肌で感じられる幸せに満ちたときだった。今は、本が大好きになったことがうれしい!!」そんな言葉が返ってきました。
 私が今やってみたいなと考えているのは、“家庭文庫”を開くことです。絵本を通して、近所や地域の方々と交流し、絵本の世界を共有できたらすてきだなと思っています。
絵本フォーラム33号(2004年03.10)より

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