リレー

子どもたちの読書環境を豊かに
(読書コミュニティネットワーク・庄司 一幸)


 私は福島県立あさか開成高校の教員で、読み聞かせボランティア部「オイガ」の顧問をしています。また、読書コミュニティネットワークの代表として、毎年、市民が自由に参加できる読書の全国大会を開催しています。
 私が読書活動にかかわるようになったのは、9年前のことです。荒れていた学校を改革しようと、「全校一斉の朝の読書」を始めたのがきっかけでした。福島県立石川高校での「朝の読書」の実践を通して学んだことは、どんな子どもにもみずからを高めていこうという気持ちがあるということでした。生徒たちの地域での評判を、生徒自身の手で変えたい、そんな思いに駆られ、本好きの生徒たちを地域に出し、読み聞かせ活動を始めました。
 閉店後の銀行のロビーや公民館のお話会は大盛況でした。生徒たちの顔に自信と誇りが戻りました。「エクテ・モア」(フランス語で“耳を傾けてね”という意味)、これがこのグループの名前です。そして、私は生徒たちから読売教育賞をプレゼントされました。
 この活動を引き継いで誕生したのが、本校の「オイガ」です。スペイン語で、「お話を聞いてね」という意味です。「オイガ」の活動は、地域から世界へと広がりました。フィリピンの山奥の子どもたちに、英訳した絵本を贈る活動を始めたからです。このほど、「オイガ」は2年連続でボランティア・スピリット賞を受賞しました。
 未来を創造していくのは、子どもたちです。その子どもたちの読書環境を豊かにしていくことこそ、私たち大人の役割です。「第8回読書コミュニティフォーラム全国大会」が、平成17年8月19日、20日の両日、福島県文化センターで開催されます。大会のテーマは、「子どものいのちと未来を考える読書活動」で、作家の柳田邦男さんと、元宝塚スターで琵琶奏者である上原まりさんがゲストです。
 一緒に頑張りましょう。子どもたちの未来のために!
 http://www.h2.dion.ne.jp/~booklove/
絵本フォーラム39号(2005年03.10)より

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