リレー

高齢者の立ち上げた「絵本で子育てサークル」
(子育てサークル「あすなろ会」 田部百合子)


 子どもは未来へつながる希望そのものだから、子どもたちが輝ける場をつくりたい。そんな思いを持った65歳以上の高齢者が、絵本の読み聞かせを中心にした子育てサークル「あすなろ会」を立ち上げて2年が過ぎました。試行錯誤を重ねながら、子育てに悩む若いお母さんたちのサポートをし、子どもたちの成長を後押しする。その過程で「私たちにもまだ次世代育成のための支援ができる!」という自信が生まれ、新しい挑戦に取り組む力をもらってきました。
 便利な時代、子育ての情報についてはテレビや雑誌やインターネットからいくらでも得ることができます。けれど、むしろその情報に振り回されてしまって悩んでいる親が目につきます。そんなときは、親を手本に子どもは育つのだから、親自身が芯の通った生活をする姿を見せて子どもたちを導いてほしいと伝えています。月2回の限られた時間ですが、世代を超えた交流の中で互いに得られるものは少なくないと感じています。
 そして、サークルでは絵本の持つ大きな力を改めて感じています。絵本の世界にひたって時間を忘れる親子、夢中になって絵を見つめる子どもの目。優しさや勇気、感動して高ぶる気持ち、言葉では伝えられないことが、絵本を通して子どもたちの中に吸い込まれていくのがわかります。
 子どもたちの日々の成長はめざましく、内なる心の世界もどんどん大きく膨らんでいて、たっぷりの栄養が必要です。その栄養を身近で一番に与えてくれるのが絵本です。私たちのサークルでは、これからももっともっと絵本の魅力を伝え、読み聞かせによる子育てを広げていきます。それが、町の子どもたちを心豊かに育てるために私たち高齢者ができる大切な取り組みだと信じるのです。
絵本フォーラム42号(2005年09.10)より

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