こども歳時記
〜絵本フォーラム第22号(2002年05.10)より〜
夜まで絵本はお休みしましょう
 きらきらと光あふれる季節になりました。洗濯、布団干し、バタバタと家事をすませて、公園にでも出かけましょうという気分になるほど、おひさまパワーはすごいなと改めて思います。身体を動かすのが嬉しくて楽しい時にも「絵本を読みましょう!」なんてことはいいませんよ。夕方か夜まで本にはちょっとお休みしてもらいましょう。
 子どもと一緒に外に出ると、空の青さや雲のかたち、風の心地よさ、色鮮やかな新緑など身近な自然の営みの中にも、驚きや感動がたくさんあることに気づかされます。
おひさまがいっぱい
『おひさまがいっぱい』
(童心社)
 子どもは大人が忘れていたこと、見えなかったことなど、いろいろなことを教えてくれるんですよね。(それも、押しつけがましくなく、頭ごなしでなく、すんなりと)
 自然を楽しむ中での新発見、驚きや感動体験は、「なぜ?」「どうして?」と疑問や探究心にもつながります。子どもたちは本来「もっと知りたい」があふれています。でも今の子どもたちは、もっと知りたいと思う間もなく、次から次に情報を浴びていて、好奇心を持つ間もないようです。映像や電子音声に邪魔されない、考えたり感じたりする自分の時間が、疑問をもったり、情報や知識を智恵に昇華させてもくれるのではないでしょうか。「ちょっと待って」と前のページを再確認したり、好きなページを繰返し見たり、絵本の時間はその子のペースで体験することができます。
土曜の朝は絵本の時間にしよう
 4月23日は今年から「子ども読書の日」に、またこの日から5月12日までの3週間は「子ども読書週間」ですが、ご存知でしたか? 今、子どもが本に出会うことの重要さを認識する大人が増えてきました。
 小中学校は、毎週土曜日が休みになりました。せっかく出来た時間です。少しの時間だけでも「土曜の朝は絵本の時間」にしませんか? 親子で楽しむ絵本の時間をつくりましょう。
 読み慣れてない人にも読みやすい絵本を紹介します。『おひさまがいっぱい』(詩・よだじゅんいち/画・ほりうちせいいち 童心社)は、素敵な幼年詩の本です。光と影の織りなす印象派風の絵が絵本ではめずらしく『ロボットカミイ』と同じ作者の絵だと気づく人は少ないでしょう。
 年度始めの集団読み聞かせにも短い楽しい絵本からどうぞ。『おばけパーティ』(ジャック・デュケノワ作/おおさわあきら訳 ほるぷ出版)このシリーズは子どもたちに大人気です。
おばけパーティ
『おばけパーティ』
(ほるぷ出版)

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