『おばあちゃんのしまで』 (文研出版) |
私の記憶に残るお正月は、年に一度、おばあちゃんちに行き、日常にはない時間を過ごすことでした。ほんの些細な出来事、例えば“きなこ餅”一つとっても、お母さんとは違うつくり方・味があって、とても記憶に残っています。それは、離れて暮らしていたおばあちゃん、おじいちゃんたちの存在・考え方・価値観を認識する時間だったような気がします。長い時間をともに過ごしてはいませんが、そんな短い時間でも、心に残るものはあると思うのです。自分と違う年代の人と接する機会を多く持つということは、人間の成長にとって必要なのではと思います。
『おばあちゃんのしまで』(ふりやかよこ/作・絵、文研出版)は、まゆみという女の子が冬休みにおばあちゃんちへ1人で行き、いろいろな人生を見て、心で感じ、成長していくお話です。
何気ない出来事でも心にとめていけるように、そして自分が成長するジャンプ台と思えるように、助走する力を子どもたちに持ってほしいと思います。そして、親たちにも……。
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