私の絵本体験記
「絵本フォーラム」17号(2001年7.10)より
子どもたちに言葉と心を伝えたい
山谷 恵美さん(山形県山形市)

写真  「次はこれ読んで!!」「今度はこの本ね!!」6歳娘と3歳の息子は私が一冊の絵本を読み終わると次々と別の絵本を取り出してくる。私の前にぺたんと座ってひざをくっつけたり、いつの間にか腕が組んであったり…。聴く姿勢は決して良くないが私はこの時間を子ども達とのスキンシップとして大切にしているし、自分自身も絵本を通してとても楽しんでいる。
 絵本を読んでもらうのが大好きな2人の子ども達だが最初からすんなり耳を傾けていた訳ではない。いつも同じ本を持ってくる娘、途中で別の遊びを始める息子、最後まで読んで本を閉じる時には私の前にいなかった事も多々あった。最近はだいぶ物心がついたこともあって一冊の絵本を最後までしっかり聴いているようになった。お互いに共感したり別々の感想を言い合っている2人を見て、様々な場面に空想を広げて心動かせているんだ!と嬉しくなる。 読み聞かせの大切さは恥ずかしながら新聞などの記事を読んで認識する程度で、あまり熱心に取り組んではいなかった。家事の合間を見て、「今日は天気も悪くて外で遊べないから本でも読もうか」という感じだった。そんな私もほるぷさんのおかげで沢山の絵本に出会い、様々な物語を読んだ。それがたとえ絵空事であっても子ども達は話に夢を持ったり遊びのヒントになったりと貴重である。そしてそこから優しさや思いやりや愛を少しずつでも感じ取って欲しいと願っている。
 最後に、本当に生意気な事を言うようだがいまの時代はテレビをつければ映像はリアルに動き、音声も実に多様に響きそれはまた別の意味で子ども達の心を捕らえている。始終発するテレビからの言葉で覚える事も確かに多いと思う。しかし私はその音からではなく私の生の声で子ども達に言葉と心を伝えたいと思う。絵本を読む時間はそんな気持ちもあってとても大事なのである。
前へ次へ