私の絵本体験記
「絵本フォーラム」19号(2001年11.10)より
とにかく絵本は楽しい!
米田 郁子さん(兵庫県神戸市)

写真  4歳半になる娘は、この夏初めて親の付き添わない宿泊を体験した。毎月参加している野外活動クラブ主催の1泊2日のキャンプだった。色々と迷った末の参加だったが「絶対行かない!」の一点張り。困った私は、キャンプ・野外活動・自然に関する絵本を本棚の前面に並べた。思春期の子どもならばわざとらしいとそっぽを向かれるところだが、そこはまだ4歳。「わぁ、これこれ!読みたかったんだ。今晩はこれにしてね」と期待以上の反応。シメシメ、まんまと乗せられて、実際リュックに荷物を積め込む段に至っては、「お母さん、寂しい?すぐ帰って来るからね」と励まされる始末であった。娘をその気にさせた一冊は、ご存知林明子さんの『はじめてのキャンプ』。昨夏からのお気に入りだ。絵本をこんなことに利用するなんて…と思われる方もあるかもしれないが、それだけ娘の世界のなかに絵本が入り込んでいるいうことで許していただこう。
 狭い我が家の壁面に並べられた絵本たちは季節ごとに衣替えを行う。震災体験後、上に積み上げることは避けてきたが、近頃では娘の枕元以外は守られていない。目下の悩みは増え続ける絵本の収納方法だ。娘が小さい頃の絵本たちをしまいこんでしまうのはかわいそうだし、時々引っ張り出されてもいるようだ。
 もう1冊この夏のヒットを挙げるとすれば『いやいやえん』だ。一夜一話で楽しい一週間だった。「絵がないと嫌だ」と言っていた娘もそろそろ物語の魅力にとりつかれる頃かもしれない。娘の大好きな『でこちゃん』や『おっきょちゃんとかっぱ』、『のらっこ』なども、いつか『ほるぷこども図書館』に採り入れられるかもしれないなどと考えるのも楽しみの一つだ。とにかく絵本は楽しい。こんな年齢になっても絵本を楽しめるのは娘のお陰だ、と嬉しく思っている。
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