私の絵本体験記
「絵本フォーラム」40号(2005年05.10)より
心と心をつないでくれた絵本たち
岡崎 ひとみさん(兵庫県西宮市)

写真 「こんどは晃太がいない いない ばあ」
「こんどは薫がいない いない ばあ」
 数年前、何度も子どもたちに読み聞かせをした松谷みよ子さんの『いない いない ばあ』は、ボロボロになってしまいましたが、それを開くたびに中2の息子と小4の娘の小さなころの思い出が一気によみがえり、胸の中があたたかさでいっぱいになります。
 結婚前の保育士時代、クラスの子どもたちに、また、いつか自分の子どもが生まれたときに読んであげようと、大学の児童教育学科の先輩が残してくれたいい絵本のリストを参考に、1カ月に1冊ずつのペースで絵本を集めていきました。子どもたちの小さなころ、昼間は1日中、外で遊ばせ、夜には毎日寝る前に絵本の読み聞かせをしました。だんだんと大きくなるにつれ、読むことを忘れていたときもありました。でも、小学校の図書ボランティアの活動を始めてからは、毎日ではありませんが、できるだけ読むように努めてきました。
 そしてあるとき、中2の息子が「お母さん、小さいころよく読んでくれたよね。『かばくん』とかさ。お母さんが読んでくれたから、僕、本が好きになった」と言ったのです。思いがけない言葉に、うれしくて涙があふれました。読んだ後、感想を聞いたことは一度もないのですが、伝えたかったことすべてが子どもの心の中に息づいていると思いました。
 心と心をつないでくれる多くのすばらしい絵本に出会えたこと、本当によかったと思っています。
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