第三回、東京会場での絵本講座が開催されました。三回目ともなり、受講生の方々
も少し慣れてきた様子が伺えました。
午前の講座は、作家・劇団天童主宰である浜島誉志子氏。 演題は「読み語りの楽しさ(実演)」
講座は、浜島氏の明るくやさしい雰囲気で、和やかにスタートしました。「自由に
自分らくし読むこと、こうでなければいけない、と縛られないこと」と読み聞かせに
ついて語られるだけあって、実演していただいた読み聞かせは、まるでひとつの演劇
を見ているかのように、浜島氏の導く絵本の世界が広がり、そこに皆が吸い込まれて
いくようでした。
全身全霊をかけて読む、そして子どもたちに情をもって伝えなければならないとい
う氏の読み聞かせに対する思いが皆に伝えられたと思います。
また氏は、「絵本を選んで読み聞かせをすることは、食材を選んで料理をすること
と同じ、すなわちどちらも子どもに愛を届けることである」ということを伝えられま
した。
親子で絵本を読む際には、氏の読み聞かせとまた違うかと思います。しかし、いろ
いろな読み聞かせがあっていいと思うこと、愛のある読み聞かせを忘れないように、
私たちに伝えていただいたと思います
午後の講座は、川崎医科大学小児科教授である片岡直樹氏。演題は「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している」
氏は、演題にもあるよう、テレビ・ビデオなどの環境によって後天的に「自閉症に
似た症状」になったと思われる子どもたちを「新しいタイプの言葉遅れ」とされてい
ます。
講演では実際に子どもたちの様子を映像で見せていただきました。そこに映っ
ている子どもたちの後ろではテレビの音が鳴りっ放し。次第に無表情になっていく、
母親にかかわろうとすることも乏しくなっている姿がありました。
何気なくテレビを
つけていた、子どもを悪く育てようなんて思っていない、でも実際は子どもたちに大
きな影響を与えていたという事実に受講生たちも驚き、ショックを受けている様子で
した。
人間の五感が育ってくる時期に、平面的で呼びかけに何も答えてはくれないテレビ
ばかりみせていたら…と氏は恐怖を訴えます。
模倣とスキンシップが赤ちゃんを育て
ること、五感をしっかり使って育てなければならないことの大切さを改めて思いまし
た。
そして氏はまた、いろいろな経験をしてきた大人の目線ではなく、与えられる刺
激をすべて受け止めるスポンジのような赤ちゃんの側になって考えることが重要であ
ると伝えられました。
グループワークでは、課題リポートについて、また今日の講演の感想などを話し合
いました。
三回目ともなり、受講生方もスムーズに自分の意見を伝えあうことができ
ているようでした。 片岡氏の講演には「ショックだったね…」「自分の周りにもひょっ
としたらと思う子どもが…」などの話もあり、いろいろな意見を聞きながら“自分は
どう考えるのか”というところを深めていける、有意義な時間となったと思います。
(すえなが・みわ/絵本講師) |