第3期「絵本講師・養成講座」芦屋会場の第6編「わたしの絵本講座」が2月24日、芦屋市のラポルテホールで開催されました。
午前の閉講式では、「絵本で子育て」センター・森ゆり子理事長から修了証が授与されました。
開講式での理事長の予言どおりに若々しく美しくなった受講生達は、「育児に携る方々に寄り添いながら、絵本の大切さを伝える活動を一人ひとりのやり方でしてほしい」という励ましの言葉に、巣立つ喜びをかみしめている様子でした。
藤井勇市専任講師は、受講生80名分を積み重ねると60cmもの高さになったという最終リポートからは、真摯に学ぶ姿勢が伝わってきたと講評されました。
また、「学んできたことは、学び終えた後、どう考え、どう行動するかによってしかわからない」という学びの本質に触れ、受講生達の今後の活動に希望を託されていました。
次に来賓祝辞です。
第一期生・絵本講師井下陽子氏からは、講師の勉強は始まったばかり、「はばたきの会」に入会し、一緒に活動しましょうとのこと。
ママズケア主宰南田理恵氏は、絵本に関心のない方にも参加してもらえるような開催の仕方を工夫してみては、とのご提案をくださいました。
40周年を迎えたこぐま社の吉井康文専務取締役からは、絵の力・ことばの力を信じて、絵本にしか果たせない役割があることを、楽しみながら伝えていってほしいとの励ましをいただきました。
作家・大阪国際児童文学館名誉館長の中川正文氏は、教えるという態度ではなく、参加者の悩みに共に苦しみ考えて共に成長するような絵本講師になってほしいと励ましてくださいました。絵本を読むことは、経験を分かち合い共に成長することだと、重ねておっしゃってくださいました。
午後の部は、福音館書店相談役松居直氏による記念講演「絵本のよろこび」から始まりました。
京都に生まれ、日本美術に親しんで育った氏は、日本人の持つ「絵で物語を表現する伝統」を次の世代に伝える仕事を志されたそうです。
子どもたちが絵本の中に書かれたことばを読み、自分の中に物語の世界を作れるようにしてやってほしい。それは、子どもたちが自ら造詣する楽しさを味わうことで、決して受身でできることではないからだ、と絵本の真髄を語られました。
また、絵本を読んでやることに見返りはなく、親と子が一緒に時間と空間を過ごすことが大事と重ねておっしゃいました。
作者と編者が全身全霊を込めて世に出した絵本は、最後には読み手のものとなるとのこと。なぜなら、子どもたちは読んでくれた人の声でことばを覚え、物語と一緒にその人のことをずっと覚えているからだそうです。
私達読み手は、作家のつくったものを自分のものとして、次の世代に伝えることができるのです。氏の志に感服するばかりでした。
記念講演の感動冷めやらぬうち、松居氏の乾杯の音頭で懇親会が始まりました。
各グループの代表者が、本当に大切なことは何だろうと帰り道に自問した思い出や、講師陣に自分の「絵本好き」を認めてもらっているようで嬉しかったという感想を述べられました。
また、ご自身が絵本で育ち、我が子も絵本で育てたという舛谷さん(兵庫県西宮市)も、育ててくれた母の思いがわかり、絵本体験が自分の生きる糧になっていたことに気付くことができたとおっしゃっていました。
第3期「絵本講師・養成講座」修了の今日、心震わす体験を伝えたいという溢れんばかりの熱い思いを持った絵本講師たちが誕生しました。
(岡部 雅子/芦屋2期生)
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