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報告者
芦屋3期生
山本 あや子
〜 絵本について 〜 開講式

2007年4月28日(土)
ラポルテホール

主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
特別協賛:ラボ教育センター

 芦屋会場では、第4期・絵本講師・養成講座が始まりました。すでに、東京・福岡会場をあわせ、400名近くの絵本講師を世に送り出して来ました。今日の開講式では60余名の受講生と10名の特別聴講生(第3期の修了生)が神妙な面持ちで、前に並んだ先生方を見つめていました。

 主催者を代表して、森ゆり子氏(NPO法人「絵本で子育て」センター理事長)の挨拶が始まり、氏が子どものように純粋な笑顔を受講者に注いでいくと、受講生の表情がみるみる和らいでいきました。氏は、「絵本講師が増えることにより、『絵本の楽しさ、奥深さ、肉声で語ることの大切さ』を知る人が増え、日本を変える力になる」と、絵本講師への期待を述べられました。また、「真剣に学ぼうとする姿勢が受講生自身を美しくすると同時に、『絵本』を学ぶことにより心深くに眠っている自分の中の子供の心を目覚めさせることができる」と、親しみを込めて話されました。

 次に、当講座の先輩である2氏から祝辞を頂きました。絵本講師の会(はばたきの会)副会長の井下陽子氏は、「1年間この講座のことが頭から離れず、レポートを書くのが大変だったが、贅沢な講師陣から学べ、苦労を共にした仲間ができた」と。1期生の松本也寿子氏は、「絵本講師としての必要な基礎が学べると共に、同じ志を持った仲間が心の支えになる。受講を楽しんで欲しいし、困ったときは相談して」と激励の言葉を下さいました。

 第1期の開講式の時から祝辞を頂いている「こぐま社」専務取締役の吉井康文氏の祝辞には、毎回多くの示唆が含まれています。子供を取り巻く絵本の環境が良いとは言えない現状や、絵本講師として学ぶべき貴重な道しるべを示して下さいました。「早期教育、能力開発に親たちの視線が行く中で、楽しむために絵本を読むことの価値とその大切さ」「子どもが心から楽しめる世界である絵本を、お父さんやお母さんの肉声を通して、膝の上を通して子供に届けることの大切さ」です。「長く読み継がれる絵本」というキーワードも登場しました。

 続いて、作家で大阪国際児童文学館名誉館長の中川正文氏から祝辞を頂きました。「スライドを映して、いい絵本と悪い絵本を見せたい」と開口一番の爆弾発言に、どの受講生も心の中で、『え、、知りたい!教えて!』と思ったのではないでしょうか。(でも残念。この講座ではテストの答えを簡単には教えて貰えないのです。自分で探し、見つけるのです)。「同じことを話す難しさ」「昔話を読み聞かせするときに、子どもが発する『ぼく、知ってる』という一言の重み」「何度も繰り返し同じ絵本を読むと、熱意が、子どもの胸にしっかり沁み込む」「人の思いを知るのが大切」と中川氏の講義はすでに始まっていました。素敵な絵本を子どもたちに伝えたいと、強く願っておられる氏が、ご自身の代表作である『ごろはちだいみょうじん(福音館書店)』を音読してくださいました。絵本の中の言葉たちが、なんと輝いて『声』になって飛び出して来たことか!『真の語り』に出会えたひと時になりました。

 以上開講式のあと、受講生8人に特別聴講生が1人加わり、グループに分かれてテーブルに着きました。副理事であり、専任講師である藤井勇市氏のオリエンテーションが行われました。講座の目的、テキストの価値、講義やレポートについて、主体的に学ぶことについて話され、受講生一同、気を引き締めました。

 続いて、各グループでは自己紹介が行われ、お昼休憩になっても、準備されたお弁当を一緒に食べながら話が弾みました。

 午後は、中川氏の記念講演が行われました。目の前でお元気そうに話される氏の、年齢と病歴をお聞きして皆が驚きました。話が進むにつれ、氏の優しさと厳しい目に引き込まれていき、自分の心と生き方を見つめざるをえなくなるのでした。氏は絵本を通して人生を語り、人としての生き方を語ることで、絵本を語っておられました。

 良い絵本の3つの条件として「生活空間の拡大に役立つ」「生活課題の解決に役立つ」「精神衛生の働き」を示して下さいました。そして多くの名言がありました。「絵本を子どもに『与える』のではない。与えるとは、目下の相手にやることなのだから」「1冊の絵本を仲立ちに、親と子が一緒の経験をし、共に成長する」「妊娠したら絵本を読めと言っている」

 命の命題を常に考え、人としての真のやさしさを追求しておられる氏の生き方、考え方に、誰もが感銘を受けた講演でした。最後に、戦争時の特攻隊の話から「攻撃命令のかからない中にいる幸せを考えたことがありますか」という言葉が、心に刻まれたのでした。

 まだまだ話し足りないと、氏ご自身が仰いましたが、この講座の副読本である氏の著書「絵本・わたしの旅立ち」(NPO法人「絵本で子育て」センター出版)に、話残された内容とそれ以上のものが書かれています。氏の魂に触れることのできた受講生の皆さんは特に、この著書の氏の言葉が心に深く沁みこんでいくことでしょう。

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