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報告者
絵本講師
松本 直美
〜  読み聞かせについて  〜 第2回

2007年7月14日(土)
福岡朝日ビル

主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
後援:西日本新聞社  特別協賛:ラボ教育センター

 梅雨も明け切らぬ中、この時期には珍しい大型の台風に見舞われた 2007年7月14日、福岡会場の第2編が開催されました。
  宮崎や鹿児島の受講者の方々は交通機関が停止状態になってしまったり、台風故に仕事になってしまった方などもあり、残念ながら参加不能になられた方も多く、いつもより少人数での開催となりました。
  そこで学校式の机配置ではなく、ロの字型での受講となりました。

 そんな悪天候な中、批評家・エッセイストの飫肥糺氏の講演「絵本で育つ親と子のコミュニケーション」が始まりました。
  静かに、そして暖かく語りかけてくださる飫肥氏の声に包まれる至福の時を過ごしました。

  ルソーの『エミール』を取り上げ“子ども時代に子どもとしての体験をまっとうすることの大切さ”などをうかがいながら、前から気になっていた『エミール』をやっぱり読まなくちゃ!という思いになりました。

  そして、講座を受講している人たちが講座中に紹介した本を読みたくなるような話を絵本講師として自分も出来るようになりたい、と本題とは違うところでも刺激を受けました。

 それから、もう一つ印象に残っている話があります。 “本”とは何か……ということです。

  宮崎県日南市で育った氏は、子ども時代に子どもの本に触れる機会はなかったと言います。 氏の子ども時代、自然の中に学びの場があったと言います。
  自然の中に本があった。それは、大きな自然の中での体験が子どもにとっての学びの場“本”だという言葉は、私が今まで解決の出来なかった疑問符を一つ消してくれる結果となりました。

  少し昔には今のように豊かに絵本が身近にあった環境とは言えないのに、何故こんなにも心豊かな人たちが育っていったのだろう…と前からとても不思議に思っていました。
  子どもたちが自然という本に出会える環境が今よりももっと豊かに、身近にあったのだということでこの疑問がとても素直に納得できました。

  その氏が過ごした少年時代の体験を基に絵本に込められたメッセージを解き明かしている『たましいをゆさぶる絵本の世界』(飫肥糺/著、絵本で子育てセンター/刊)を読んでいただければ、私の拙い語彙では伝えられなかったことをもっと感じてもらえるのではないかと思います。

 官僚の悪事や学校選択制、格差拡大などの社会情勢の話もあり、どうつながるのかと思って聴いていました。
  国をあげて格差を拡大している、コミュニケーションをとれなくしている、そんな状況に歯止めをかける活動をしていくのが受講されている皆さん、絵本講師なんですよね…と柔らかな口調で言われました。
  静かな語りはより一層心にズンときました。

 午後に講演予定だったとよたかずひこ先生は、最後まで参加するための算段をされていましたが、台風のため始発乗車を断念されました。
  でも、ご厚意により福岡会場最終日に記念講演をして頂けるようになりました。

 とよた先生の話を聴けなくなった受講者のために飫肥氏は時間を大幅に延長して静かに熱く語り、絵本も読んでくださいました。
  知っているお話なのに、語る人が違うせいでしょうか…飫肥氏と共有の時間を持てたからでしょうか。とても温かな気持ちの良い時間を受け取りました。
  そして最後にお孫さんとの楽しいエピソードを話される飫肥氏の表情は、評論家・飫肥糺のそれではなく、いとしい孫を想うおじいちゃんでした。

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