春の訪れを感じはじめた2月23日、第4期「絵本講師・養成講座」(芦屋会場)第6編「わたしの絵本講座」閉講式・懇親茶話会が、ラポルテホールで開催されました。
閉講式は、修了証書の授与から始まりました。この一年ともに学び語り合った班ごとに、「絵本で子育て」センター森ゆり子理事長から修了証書を授与されました。修了生のみなさんは、やり遂げた充実感とたくさんの出会いへのよろこびに満ちあふれた、明るくすがすがしい笑顔を会場に見せてくれました。
森理事長から、「講座を終えて学んだことを誰かに伝えたいとうずうずしているはず。第4期を修了した今日、絵本講師は全国で約500人となり、たくさんの方たちが絵本講師として活躍されることを願っています」ということばをいただき、養成講座受講生から「絵本講師」としてのスタートに気持ちを新たにされていました。
続いて藤井勇市専任講師による全体講評では、“真摯に学ぶ”という姿勢が伝わったこと。そして学べば学ぶほど疑問は生じ、新たなスタートとなること。家族が今後どのように変化していくかを見守り、家族とは家庭とはということを根本的に考える必要があること。身近に仲間を作り、絵本講座では、聞いている人に寄り添い一緒に考えるという姿勢を大切にすることなどのお話がありました。
最終レポートは養成講座の終了にすぎないのだとあらためて感じ、これから一人ひとりが何をどう学んでいくか、絵本講師としての今後の活動への示唆とともに、大きな期待を寄せられていることを感じさせる講評でした。
祝辞は、まず、現在絵本講師としてご活躍中の3人からいただきました。「ただの絵本大好きおばさんになりなさんなよ」という中川先生のことばを肝に銘じ、仲間とともに絵本講師として活躍しているという大長咲子氏(第1期生)。絵本講座を通して絵本を読む喜びを感じ、絵本の奥深さを知るという大西勝氏(第2期生)からは、『いない いない ばあ』の“ばあ”ができないまま愛犬を失い、『いつでもあえる』という本の紹介がありました。
はばたきの会副会長の井下陽子氏(第1期生)は、閉講式ということで、ほっとした、やり遂げたという満足感に浸っていることと思うが、そうではない、今日絵本講師としてのスタートをきったのだと。 絵本講師を一人でするのはたいへんだから、ぜひはばたきの会に入会してともに活動しましょうと。
3人の祝辞はたいへん心強く具体的で、すぐにでも一歩踏み出せそうな思いがしました。
ママズケア主宰の南田理恵氏は、現在ベビーマッサージと絵本講座を組み合わせて実施しておられ、絵本にあまり関心のない人に向けての講座はむずかしくはあるものの、活動の場を広げることにつながるのではないかと話されました。
続いて、今日も4歳のときから行きつけの理髪店で(主にひげを)整えてこられたこぐま社の吉井康文専務取締役は、読み聞かせは基本的には1対1であり、子どもは読んでもらう側であるが、受身ではなく、身を乗り出して聞く、積極的に受けとめるものである。聞くことの大切さとともに、子どもたちの聞く力を育ててほしいということを強く訴えられた。
そして出版冊数は減少しているにもかかわらず児童書の新刊本自体は増え続けている昨今、児童文学とは人生は生きるに値するものだと明確に示されたものと定義づけられるが、絵本もそうであることを願っていると話された。
祝辞の最後は「絵本で子育て」センター顧問であり、作家、大阪国際児童文学館名誉館長の中川正文氏。日々、一日を終えて朝と自分がどう変わっているか見つめなさい、修了証書を手にした今日は、おめでとうではすまされない、この一年を厳しく振り返りなさい。そして過去を引きずらず、自分の目標を決めて、覚悟を持って講座に臨みなさいとおっしゃいました。
また絵本にはいろんな絵本があり、悪い本として推薦できるものさえある…。たとえいい本といってもそれは私たちとは無関係に作られている既製品であり、料理で言うならレストランの味である―専門的で感動的で誰の口にも合う―つまり共通性。その絵本がその子どもにとって役立つかどうかは特殊な世界であり、既製品社会では対応できないものを含んでいる。
講座では既製品の紹介をするだけでなく、楽しめる絵本を子どものために作りなさい。外国の歴史を知っていても我が家の歴史は知らないというのでなく、父親の歴史も子どもに伝える、1冊の絵本が我が家とつながる、そんな絵本講師になりなさい。「おきばりやす」としめくくられた。
記念撮影のあと休憩を挟んで、中川先生の乾杯の音頭で懇親茶話会が始まりました。講師の先生方からの心のこもった祝電が披露され、講師の先生方がいかにこの講座を大切に思ってくださっているかを感じ、感謝の気持ちでいっぱいでした。
その後は各班を代表して3分間のスピーチ。班のメンバーの団結もさることながら、「絵本講師・養成講座」修了生というだけあって、みなさんすばらしいスピーチでした。
“この一年がんばった自分をほめたい”、“講座を通して前向きになれた。別れはつらいけれど、出会いがなければ別れはない”…すでに講座を開いたという人や、立場上人前で話す機会が多くあがらないという人、しっかり『毒になる親』・かこさとしの『かわ』など本の紹介を組み入れる人まで。さすがです。
和やかに茶話会が終わり、外へ出ると、昨日までの暖かさはどこへやら。雪まじりの強い風。厳しく見つめ、これからがスタート。そんな気持ちにさせてくれた如月の一日でした。 |