バナー
報告者
芦屋5期生
牧 幸代
第2編   〜 読み聞かせについて 〜

2009年6月13日(土) ラポルテホール

主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・ほるぷ出版・理論社
特別協賛:ラボ教育センター

 緑濃くなる6月、カラっと晴れた気持ちよい陽気の日に、第6期「絵本講師・養成講座」(芦屋会場)第2編が6月13日、芦屋市船戸町のラポルテホールで開催されました。

 午前の講義は、批評家、エッセイストの飫肥糺先生で、演題は「感じるこころ。感じる絵本」でした。先生は時間の価値について語られ、大人の過ごす時間と子どもの過ごす時間では、その内容の濃さに大きな違いがあり、子どもたちはかけがえのない時間を力いっぱい生きていると話され、『ぜったいぜったいねるもんか』( マラ・バーグマン/文 ニック・マランド/絵 おおさわあきら/訳  ほるぷ出版)の読み聞かせをしてくださいました。コールディコットの絵本『ちちしぼりのおじょうさん』を英日で読んでくださり、最近の子どもたちに好まれている系統として「ナンセンスの絵本」を取り上げ、ナンセンスの巨人エドワード・リアにはじまり、ナンセンスは「意味がないけどそこに何かを感じる、何か愉快」という心の奥に響く大切なものを秘めていると話され、『きょうはこどもをたべてやる』(シルヴィアン・ドニオ文/ドロテ・ド・モンフレッド絵/ふしみみさを訳/ほるぷ出版)をご紹介いただきました。テレビなどの映像で「こどもをたべてやる」というとリアルで恐怖が先に立ちますが、絵本で表現するとナンセンスに早変わり!言葉のきつさをユーモラスな絵と展開でカバーしてよりおもしろいストーリーになっていました。他にも『あかがいちばん』(キャシー・スティンスンぶん/ロビン・ベアード・ルイスえ/ふしみみさお やく ほるぷ出版)を例に子どもの「こだわり」に対する価値を考えさせられました。『にぐるまひいて』( ドナルド・ホール ぶん バーバラ・クーニーえ もきかずこやく . ほるぷ出版) は人間の営みの基本、汗を流して働き、働くことで物を得て、つつましくしっかりと生きること。巡ってくる四季を大切に感じ、自然とともに生きることを学び、この絵本を「詩が流れるような物語」と評され、往きて帰りし物語こそ、物語の根本であり、子どもたちも安心して物語を楽しむことができることをご説明されました。 また『アンジェロ』(デビット・マコーレ 作 / 千葉茂樹 , 訳 / ほるぷ出版)を読まれ、「死」にきちんと向き合い、生き方の意味を問う、大人が深く感動する本だと紹介されました。絵本は子どもと一緒に大人も読むべきものであり、絵本は読んであげるもの、楽しみを大人と子どもが共有することこそ大切で、大人が深く感動できる絵本は、子どもにも豊かなものを伝え、感動している大人の姿を見ることでも子どもの心は豊かにはぐくまれるだろうということを学びました。

 午後は、絵本作家・とよたかずひこ先生による講演「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる ━ 自作を語る ━ 」でした。 実に楽しい講演で、作品が誕生するきっかけや行程、作品ができるまでの秘話、さらには出版前の作品構想段階のものまで見せていただき、たくさんの楽しいお話してくださいました。
  『でんしゃにのって』(とよたかずひこ アリス館)のもとになったおばあちゃんのお話「駅名のしゃれ」やトンネルの中のプラットホームの謎も大いに楽しませていただきましたし、バルボンシリーズの誕生秘話も「絵空事であるけれど、理屈を通す必要があり、ナンセンスの中に筋が通っている必要がある」との作家のこだわりに感服しました。バルボンさんの名前の由来からバルボンさんに子どもが誕生するまでのシリーズをどのように絵本にしていったのか…年齢などの詳細設定から結婚イコール結婚式という発想を転換させたり、さくら先生に視点を変えて創作されたり、シリーズが出来上がるまでの先生の頭の中をのぞかせていただいたようでした。
  他にも『ゴロゴロゴロン』の紙芝居から、ふとんをひっくり返す遊びを何度もせがまれた、小さかった娘さんとの思い出や子育て中のエピソードを聞かせていただきました。次は「どんどこももんちゃん」シリーズで、中学生の傑作感想文の紹介、今年出版予定の自立したたべものたちの物語を出版に先行して見せていただきました。貴重な時間をありがとうございました。

 グループワークの前に、藤井専任講師より第1編の課題リポートの講評と各質問に対しての返答があり、加えて、ボランティアに関する先生の見解やアドバイスをいただきました。
  そのあと、芦屋1期生の野口明子さんより、 『いない いない ばあ』(松谷みよ子 / 文、瀬川康男 / 絵、童心社)の読み聞かせを披露していただき、グループワークで、実際に読み聞かせの実践をしました。 各グループから拍手や笑い声が湧き起こり、絵本が豊かな交流を生むこと、楽しい時間を共有できることなどを改めて感じました。 (まき さちよ)

★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編

第3期リポート はこちらから ★ 第4期リポート はこちらから ★ 第5期リポート はこちらから
第6期リポート  ★ 第7期リポート はこちらから ★ 第8期リポート はこちらから
 ★ 第9期リポート はこちらから ★ 第10期リポート はこちらから

絵本で子育てセンター