バナー
報告者
芦屋7期生
浅越 佐知子
第2編 〜読み聞かせについて〜
2011年6月18日(土) ラポルテホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店・ほるぷ出版・理論社

 梅雨の季節、蒸し暑く小雨の続く6月18日、第8期「絵本講座 養成講座」(芦屋会場)第2編が、芦屋市舟戸町のラポルテホールで開催されました。

 受付の時間前より受講生の方が続々と集まりました。会場に入って席につき、すぐに資料を読まれている方が多く、受講生の学ぶ姿勢を強く感じることができました。

 加藤美帆さんの司会進行で始まり、午前の部では批評家・エッセイストの飫肥 糺先生が『たましいをゆさぶる絵本の世界―子どもと絵本、そして「生きる」こと』と題して読み聞かせを交えながらお話くださいました。                             

 3.11の東日本大震災での自然の猛威に人がもたらす大災渦に想うことを写真絵本『おもいだしてください あの子どもたちを』 (C.B.アベルス / ぶん、おび ただす / やく、ほるぷ出版) からお話してくださいました。地震、津波、原発によって被災した子どもたちをその絵本のユダヤ人の子ども達と重ね、今を生きる子ども達の想いをしっかり知り想像することが大切であり、大人は子どもの立場にたって子どもが豊かな時間を過ごせる手助けをしっかりしていかなければいけないと。今の私に何ができるだろうと考えた貴重な時間でした。

 続けて、『にぐるま ひいて』 (ドナルド・ホール / ぶん、バーバラ・クーニー / え、もき かずこ / やく、ほるぷ出版) の読み聞かせでは、家族のそれぞれの役割がきちんとあり、汗を流して働き、働くことで物を得て、つつましくしっかりと生きること。まさしく東北の人々のゆっくりとした時間の中での工夫された今までの生活と同じであるとお話しされ、この絵本から、くり返される四季を大切に感じ、自然とともに学び、「往きて還りし物語」の持つ、“繰り返し”の心地よさを楽しむことができることを知りました。また『ルピナスさん』 (バーバラ・クーニー/さく、かけがわ やすこ/やく、ほるぷ出版) からは、世の中を美しくすることを目標に、自分に与えられた命を大切に精一杯生きていくことが大切であるということが学べるとご紹介くださいました。大人が絵本を楽しむと聞き手の子どもも楽しんでくれます。それぞれ感じ方が違ってもその感じ合う心がコミュニケーションの初めの一歩であると。そして言葉や肌のふれあいが生まれ、その経験を積み重ねていくことで大変な社会でもしっかり生きていく力をつけていくことができる。大人も子どもも絵本で遊び、絵本で学ぶことが大切であると。

 時間の関係で、あと何冊かの本のお話は詳しくはお聞きできませんでしたが、先生の絵本や子育てに対する真剣な想いを学べた貴重な時間なりました。

 午後は絵本作家のとよたかずひこ氏に「でんしゃにのってももんちゃんがやってくるー自作を語る」をテーマにご講演いただきました。まずは最新の紙芝居『はいたっち』を、そして紙芝居『でんしゃがくるよ』『ゴロゴロゴロン』 (童心社) をご自身のお子さんとの子育て中の思い出から作品作りに繋がるエピソードを交えながら読んでいただきました。次に代表作の『でんしゃにのって』 (アリス館) を読んでいただきましたが、この作品のもとになったおばあさまから教わったという、青森〜仙台間の駅弁売りのお話。どの作品もご家族との温かい生活から生まれてくるのがよくわかり、愛情を感じました。続いてバルボンさんシリーズの裏ストーリー、バルボンさんが33歳独身であることやその背景。「絵空事であるけれど、理屈を通す必要があり、ナンセンスの中に筋が通っている必要がある」との作家のこだわりと作品への思い入れを知ることもできました。 また「どんどこももんちゃんシリーズ」で中学生の傑作感想文の紹介、読者を大切にされている先生の想いが伝わります。今取り組んでおられる「自立したおいしいたべものシリーズ」では日常から見つけられた言葉の楽しさもお話くださいました。私はこの食べ物シリーズの絵本に書かれている《しんぱいごむよう》という言葉が大好きです。読み手が楽しんで読めば聞き手にその楽しさが伝わり、幸せな気分になれるとお話くださったこと、裏表紙の細部にまで趣向をこらして、ご自身も楽しんで作品を作られている姿勢に、私たちも温かいパワーを与えていただいた気がします。 

 講演後グループワークの前に、藤井専任講師より第1編の課題リポートの講評と質問に対しての返答がありました。加えて「絵本講師・養成講座」当日の新聞記事の原発についてのお話。大阪市長が関西電力に対して、「脱原発」に向けた考えを示すように求めたとのこと。今まさに起こっている問題に目を背けることはできません。改めて様々な情報を自律的に捉え、追求する力を待てるように深く考え学んでいかなければと痛感しました。

 グループワークでは、9グループに別れ「いないいないばあ」 (松谷みよ子/文、瀬川康男/絵、童心社) の読み聞かせを実践しました。皆さん個性豊かに読んでおられ、本の持ち方やページのめくり方などの細かい点にも着目して話し合いがもたれました。各グループに聴講生やスタッフも加わり、グループ内でも読みあって、読んでもらう心地よさを再発見したり、いないいないばあの意味を話したりと大変盛り上がっていました。私自身も多くのことを学ぶことができました。

 次編は8月20日、講座も中盤になります。まだまだ「じめじめした梅雨」そして「暑い」夏」と続いていきます。健康で次回も元気でお会いできることを願っております。

(あさこし・さちこ) 

★芦屋会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編
★東京会場リポート 第1編/第2編/第3編/第4編/第5編/第6編

第3期リポート はこちらから ★ 第4期リポート はこちらから ★ 第5期リポート はこちらから
第6期リポート はこちらから ★ 第7期リポート はこちらから ★ 第8期リポート はこちらから
 ★ 第9期リポート はこちらから ★ 第10期リポート ★ 第11期リポート はこちらから

絵本で子育てセンター