第9期「絵本講師・養成講座」東京会場の閉講式は、2013年3月23日(土)、外濠の桜が咲き乱れるうららかな日に和やかにとり行われました。
閉講式では、森ゆり子理事長からグループごとに修了証書が手渡されます。授与の後には恒例の、まわれ右!どのグループでも、一年前より穏やかで輝きを増した笑顔が弾けました。理事長からは、「絵本講師の活動方法は人それぞれで、身近なママ友に伝えることも第一歩です。活動や学びを続ける講師が増えることで、日本の子どもの育ちが変わっていくと信じています」と、そっと背中を押してもらうかのような励ましの言葉をいただきました。
次に、藤井勇市専任講師からの全体講評です。受講生自身の体験が織り込まれた最終リポートは秀逸なものばかりで、涙なくしては読めないものも多かったそうです。リポートをもとに講座をするときに心に留めていて欲しいこととして、聴衆への畏怖と敬意を持つことと、全ての人にわかってもらえなくても一人でもわかってくれる人がいたら成功との二点を挙げられました。また、子どもが本当に良い社会を生きるために、私たちは何を考えて本を届けるのかと、絵本講師として社会へ向けて広い視野を持つ必要性をご教示くださいました。
祝辞へと続きます。東京8期生の市川洋美さんは、絵本という共通のものを分かち合った仲間とリポートはみなさんを励ましてくれるものとなるでしょうと、受講で得たもの素晴らしさを語られました。山中光江理事からは、受講への労いと、日常生活の中に絵本でつながる和やかな人の輪づくりへの期待の言葉をいただきました。来賓の籠宮氏からは、読書を娯楽と捉える日本人が少なくなった昨今、家庭での読み聞かせの楽しさを伝える絵本講師の活動の重要性が増しているとのエールをいただきました。
午後は、記念講演「梅田俊作 自作を語る」です。初めに、梅田先生は、新作の絵画を披露してくださいました。震災後の福島、一面の雪のなか収穫されることのない柿。一晩で散るイチョウの葉。どちらも、誰にも看取られないまま土に返るが、ちゃんと次の世代に命を繋いでいる。打ち捨てられたものにある美しさに心を奪われ、その存在を通して次の世代の礎となるものを伝えたいと創作されたそうです。
また、「津波てんでんこ」を題材にした減災絵本製作では、日頃から地域や家族で話し合っているからこそ、いざというとき相手も逃げているとお互いに信じて逃げることができると、日々の暮らしの中で大事なことを子どもに伝えていくという文化の在り方を感じられたそうです。だから、子どもへは先生よりも読み聞かせのおばちゃんの言葉のほうが日常生活と直結していて伝わりやすいと、地域の子どもへのまなざしの大切さにもふれられました。子どもたちにつけて欲しい力として、身の回りの物を生かして遊ぶ力、自分もよし人もよしの関係を作れる力を挙げ、その力をつけるため、大人は子どもを生き急がせることなく遊びきる時期を保証してやってほしいとおっしゃっていました。
梅田先生を囲んでの記念撮影の後は、籠宮氏の乾杯の音頭(こちらも恒例)で懇親茶話会の始まりです。講師の先生方や協賛出版社様からの祝電披露(by岡部)や、梅田先生の伊座里旅行のお話、以前は子どもに読み聞かせをするのが怖かったが受講を通して心が決まったという受講生のひとこと発表など、歓談が尽きませんでした。また、会場後方の「はばたきの会」コーナーでは、多くの方が入会の申し込みをされていました。宴はたけなわでしたが、北素子さんの一本締めでお開きとなり、受講生の皆さんは会場の熱気をまとったまま連れだって夜桜見物の人の群れへと吸い込まれて行きました。
仕事や家事育児の時間をやりくりして学んだこの一年が、受講生の皆さまの今後の活動の大きな糧となることを祈りますとともに、ともに羽ばたく仲間が増えることを何より心強く思います。またお会いできる日を楽しみにしています。(おかべ・まさこ) |