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報告者
芦屋9期生
西岡 敏子
第3編   〜 絵本講座について 〜
2013年8月24日(土) ラポルテホール
主催:NPO法人「絵本で子育て」センター  共催:ほるぷフォーラム社
協賛:岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店・ほるぷ出版・理論社

 第10期「絵本講師・養成講座」芦屋会場第3編は2013年8月24日(土)、これまでに経験したことのない豪雨にビックリしたり、熱中症の注意報が頻繁に出されるような猛暑の続く夏真っ盛りの日にラポルテホールにて開催されました。
受講生の皆さんは、夏休みの日常生活から解放され元気に参加されていました。

第3編の午前中は、飫肥糺先生の講演です。司会の加藤美帆さん(芦屋3期生)からの紹介の後、「だから、ぼくは絵本を読む」と題して講演が始まりました。現代社会で問題とされている深刻な現状について色々とお話をされました。まず、子ども達のいじめによる自殺、インターネットの発展によって引き起こされている若者達の事件についてのお話がありました。現代の親達よりも巧みな操作で、子ども達は携帯や、パソコンを使い交流をしています。ラインやメーリングリストでの交流は、便利な反面、時には、返信を余儀なく強要されるという恐怖感も生じます。対面で言葉を交わすと段々と丁寧になるが、媒体を通して会話(電話など)すると言葉は乱暴になり、ましてメールとなれば当然、悪化するに決まっています。インターネットは有効なツールではありますが、何のために使うのか、判断できない子ども、若者にも普及させる必要があるのかと疑問を投げかけられました。現在、中高生で52万人といわれている依存症のうち、インターネット依存症はアルコールや薬物の依存と同じ危険性があるのだと警告されました。現代の日本社会は、悪を排除してきましたが、以前の子ども時代は、子ども同士の喧嘩や、近所の柿を無断で取って食べるなど育ちの中での「悪さ」を体験して、やってはいけないことを学ぶことができました。「いじめ」はなくなりません。いじめに耐えられる精神の強い子に親が育てていくこと、何が善か悪かを見極められる心を育てることが大切です。原爆や戦争の悲惨さを描いた漫画『はだしのゲン』の閲覧禁止問題について、実際に製本に関わったという飫肥先生から、作者の中沢啓治さんが、戦争の悲惨さを伝えるために、どれだけ真剣に子どもたちに読めるように精一杯描いたものであるというエピソードを聞かせていただきました。改めて、我々大人が子どもたちに文明・歴史を社会の一員としてどう伝えていくかという責任を強く感じました。現在の閉塞状況のなかにあって大人もどんどん絵本を読まないといけないと思っていると先生はおっしゃいました。子どもの絵本のなかに描かれている不変のもの(子と親の繋がり・愛情、喜び・怒りの表現、友達・競争・学習)、現在像を見てリフレッシュすることが出来るのだと、その理由を述べられました。そこで紹介されたのが、『にぐるま ひいて』(ドナルド・ホール/ぶん、バーバラ・クーニー/え、もき かずこ/やく)・『アンジェロ』(デビッド・マコーレイ/作、千葉茂樹/訳)・『ガンピーさんのふなあそび』(ジョン・バーニンガム/さく、みつよし なつや/やく)・『ぶんぶんぶるるん』(バイロン・バートン/さく、手島悠介/やく)・『どろんこハリー』(ジーン・ジオン/ぶん、マーガレット・ブロイ・グレアム/え、わたなべ しげお/やく)・『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』(バージニア・リー・バートン/ぶん・え、むらおか はなこ/やく)・『おにいちゃんになるひ』(ローラ・M.シェーファー/作、ジェシカ・ミザーヴ/絵、垣内磯子/訳)・170年も前の絵本『もじゃもじゃペーター』(ハインリヒ・ホフマン/さく、ささき たづこ/やく)でした。最後に、善意の押し売り的な絵本が多くなっていると感じるが、自分が読んでシックリこない本は子どもに読むのはやめたほうが良い、子どもはワルで元気一杯で、何となく正義感のある子に育ってほしいと語られて講演は終わりました。
昼食の後、午後からは絵本作家である、とよたかずひこ先生による講演がありました。まず、紙芝居の『はい、タッチ』を読んでいただき、とよたかずひこワールドの始まり始まりです。会場の空気が一気に明るくなり、とよた先生の絵本の世界に引き込まれていきました。続いて『ゴロゴロゴロン』・『でんしゃがくるよ』の紙芝居も楽しみました。紙芝居は、人に、演じてもらわなければならない、ページを戻ることができない、その場で子供の気持ちを掴まなくてはならない、といった特徴を話されました。先生の代表作である『でんしゃにのって』をはじめとして次々と絵本を読んでいただきました。『ばしゃにのって』『バルボンさんのおでかけ』『どんどこももんちゃん』『とうふさんがね』など、それぞれの作品の出来上がった経緯や、絵本の中に擬音・擬態語が多いのは、絵に描いてあるので最小限の言葉となっているからといった説明など興味のある話の連続でした。とよた先生の心地良い音の繰り返しに身も心も癒されて、あたたかい雰囲気のなか、講演は終わりました。
藤井代表から講演の感想と、受講生のリポートに寄せられた質問に対する回答や、注意事項がありました。
この後、グループに分かれて自由な話合の時間を過ごしました。45分ほどの短時間だったのですが、各グループで話すテーマもできている様子で、それぞれが時間を惜しんで活発に話されていたようでした。
次回は、2か月後、涼しくなり過ごしやすい秋に第4編が開催されます。笑顔で皆さんが参加されるのを楽しみにしております。(にしおか・としこ)



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