第15期「絵本講師・養成講座」(大阪会場第2編)が2018年6月16日(土)、CIVI研修センター新大阪東に於いて開催されました。
梅雨の季節でありながら、爽やかな晴天に恵まれた当日、午前の講演は松居直先生(児童文学家・福音館書店の創業に参画)のDVD講座で始まりました。
松居先生は『熊のプーさん』のお話が大好きだったそうです。
世の中には喜べるものも少なくなった戦争中のお話です。
松居先生は『熊のプーさん』を読んでいる時は、言葉というものはこんなにもあたたかい! と感じられたそうです。
「生活実感のあるゆたかな言葉に包まれ、自分がその世界に入り込んで、そこで生きているような感じがした」とおっしゃっていました。
読書というのは言葉の世界にいかに深く入り込んでいくかということ。
そして、その言葉に含まれている命というものを、どのくらい自分のなかに取り込んでいくかということのお話でした。
受講生の皆さんは、途切れることなく語られる松居先生のお話に真剣な眼差しを向けられていました。
また語られる先生ご自身の思い出話しには会場からも笑い声が溢れました。
DVD講座にもかかわらずまるで目の前に松居先生が立たれて講演されているかの様な錯覚さえ感じられる会場の様子でした。
松居先生が、「私は母から日本語(母語)をもらい、命(言葉)をもらった。
子どもはこの事を実感として感じることが大切。
それは一生の体験につながっていきます」とお話しを結ばれた時には、私自身何度も聞いたお話なのにその一言ひとことの言葉の重みと温かみがまた一段と心にしみました。
お昼休みをはさんで午後の部はとよたかずひこ先生の講演です。
紙芝居に始まりたくさんの作品を読んでくださり、絵本作家になった経緯、作品誕生の秘訣等を交えながら清 んだお声で語ってくださるお話に、私たちは幼いころの自分に戻りぐんぐん引き込まれていきました。
会場は読んでもらう楽しさも加わり常に笑いの渦でした。
物語を作る作家というのは、外側にある世界をいかに自分がつかみとるか! 「作品は作家の手をはなれると読者のもの」とは、よく言ったもんだ! と言いつつ、『どんどこももんちゃん』への中学生からの感想文を読みあげてくださった時には爆笑の渦でした。
心から解放され安心してとよた先生の作品やエピソードのなかに入り込めるというのは何と心地の良いことでしょう。
楽しんでもらいたいというとよた先生の思いに私たちが魅了された優しい時間でした。

その後、大長咲子副理事長からこの養成講座の学び方についての説明が、続いて藤井勇市専任講師からちょっと一言。
「子供」と「子ども」の文字表記の違いについての説明をいただきました。
今さらながら言葉一つひとつの表記にまでその子どもたちに向かい合う姿勢が写しだされていることに、あらためて心が引き締められました。
グループワークに先立って武田美保さん(芦屋4期)が『いない いない ばあ』を読んでくださいました。
一人ひとりに『いない いない ばあ』を読んでいただくことは、課題のない絵本講座のグループワークでの唯一の課題です。
読んでもらうこと、またそれぞれ違う読み聞かせを新鮮に感じつつ意見を交換し合うことは普段の私たちにはないことです。
それぞれのグループでは、楽し気に賑やかに『いない いない ばあ』がこだまし、その後の話し合いに弾みがつきました。
次回(第3編)は8月、暑さ真っ盛りの季節です。 きっと会場内の皆さまの熱気もますますに盛り上がってくることでしょう。またお会いできる日が楽しみです。
(ほしの・めぐみ)
ほしの・めぐみ(芦屋8期) 
(講座風景)

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