第15期絵本講師養成講座

報告者
多本 ゆき枝
芦屋12期
多本 ゆき枝
第3編 ~ 絵本講座について ~

2018年08月18日(土)CIVI研修センター新大阪東

主催:NPO法人「絵本で子育て」センター
協賛:アリス館・岩崎書店・偕成社・金の星社・こぐま社・鈴木出版・童心社・福音館書店

「絵本の力を感じ学んだ日」

熊懐 賀代 第15期「絵本講師・養成講座」大阪会場第3編が2018年8月18日(土)、CIVI研修センター新大阪東に於いて開催されました。夏休み期間のためか欠席者がいつもより多いものの、会場には受講生の笑顔があふれ、熊懐賀代さん(芦屋4期)の司会で講座が始まりました。

 午前は、飫肥糺先生の講演「こんな絵本を読み語りたい」です飫肥 糺 氏。ロングセラーの絵本はテーマが明確で普遍性があり、絵と文とが融合してメッセージを発している。絵も文も個性を持ち、読み手聞き手を誘い込む力があるもの、そして、子どもへの深い理解と愛情が感じとれる絵本がいい。何を言いたいのか分からないものは子ども向けの絵本ではない、と話されました。

 ご自身で翻訳された絵本『平和って、どんなこと?』(ウォーレス・エドワーズ/さく、おび ただす/やく、六耀社)と、今年の沖縄全戦没者追悼式で朗読された中学3年生の相良倫子さんの平和の詩「生きる」を紹介され、いま、自分さえ良ければいい、と多くの人が考え、世界中いつでもどこでも人が殺されている。本当に平和な時には平和は叫ばれないだろう。いまの日本はどうなのか? 果たして世界は一つになり得るのか? と問いかけられました。会場にいる一人ひとりが平和について静かに想いを巡らせた時間でした。

吉井 康文 氏 午後は、吉井康文先生の講演「絵本の可能性」です。まず『あたごの浦——讃岐のおはなし』(脇和子・脇明子/再話、大道あや/画、福音館書店)を、続いてこれによく似た話がある、と『また もりへ』(マリー・ホール・エッツ/ぶん・え、まさき・るりこ/やく、福音館書店)を読んでくださいました。前作の『もりのなか』と共にエッツの文と絵について詳しく解説しながら、いかに作者が子どものことをよく分かって描いているか、いかに多くのことを考えて絵本を制作したのかを示されました。絵本は絵を読むと見えてくることがたくさんある、私たちは残していきたい力のある絵本を見極めなければいけない、と語られました。

 

 また、ハンディキャップをもつ人が主人公の絵本や、ハンディキャップをもつ人が描く絵本、障害の有る無しに関係なく楽しめる大長 咲子絵本についても紹介されました。個性や違いを認めること、自分が自分であっていいと語る絵本も、是非、子ども達と一緒に読みたいと思いました。

 グループワークに入る前に、大長咲子副理事長から絵本講師とボランティアとの違い、著作権のこと、サプリメントのデータについての説明がありました。

藤井 勇市

 

 

 続いて藤井勇市専任講師からは、いまの日本は何も考えず自分のことしか考えないデストピア(暗黒郷)であり、リテラシーをなくした社会になっている。学力とは学ぼうとする力・問題を解決しようとする力であり、記憶力や暗記力とは違う、というお話がありました。

 

多くの学びに飽和状態となりながらも、グループでは活発な話し合いがもたれていました。共に学ぶ喜びにあふれた一日でした。

 

(たもと・ゆきえ) 多本 ゆき枝


(講座風景)

講座風景

第15期「絵本講師・養成講座」
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