22期 東京会場第2編


2025年7月26(土)

絵本だから伝わること

受付
受付
司会:大久保広子
司会:大久保広子
スタッフ
スタッフ

22期「絵本講師・養成講座」東京会場 第2編が7月26日(土)、飯田橋レインボービルにて開催されました。今年の夏の暑さはひとしおで、この日も厳しい日 差しが照り付ける中、受講生の皆さんは元気に会場にお集まりくださいました。

 

大久保広子さん(東京5期)の司会で午前の部がスタート。

故松居 直氏
故松居 直氏

午前の講演は、故・松居直先生による「絵本のよろこび」のDVD視聴です。松居先生は、編集者として、また三人のお子さんの父親として、そしてかつて自分もお母さまから絵本を読んでもらった子どもとして、あらゆる角度から大人が子どもに絵本を読むことの意義を語ってくださいました。また、子どもたちの育ちに対し危機感を抱かれているというお話は、現代の子育て環境にも通じる内容で、このDVDの収録は2010年の第7期「絵本講師・養成講座」の際に行われたにもかかわらず、15年の時を経てもなお古びない講演に、私たち大人が今を生きる子どもたちにできることは何かを改めて考えさせられました。しかし、厳しいお話もありながら、絵本の楽しさや、編集された絵本の誕生エピソードを語られる時の松居先生の表情は優しくやわらかで、子どもに絵本を通して豊かな言葉の体験をしてほしいという松居先生の想いが伝わってきました。

受講生からも、「本当は松居先生の生の声を聞くことができず残念だけど、映像で松居先生のおはなしが聞けて本当に良かった」との感想をいただきました。はじめに森ゆり子理事長より「22期を迎え絵本講師の数は2300人になりました。絵本で子育てする楽しさ、絵本の素敵さを伝えてほしい。不思議な縁で皆さんと学んでいけることをうれしく思います」とお話がありました。

𠮷井 康文氏
𠮷井 康文氏

お昼の休憩をはさみ、午後からは𠮷井康文先生による「絵本の絵を読む魅力と大切さ~文字なし絵本・昔話絵本から学ぶ」と題した講演です。

大人の先入観からか、文字なし絵本は読み聞かせに向いていないように思われがちですが、今回の講演で𠮷井先生が、『りんごとちょう』(イエラ・マリ、エンゾ・マリ/作、ほるぷ出版)、『ぞうのぼたん』(うえののりこ/さく、冨山房)、『うたがみえるきこえるよ』(エリック・カール/作、もりひさし/訳、偕成社)などの様々な文字なし絵本を紹介しながら、その魅力を存分にお話してくださったことによって、「子どもとこの楽しさを分かち合いたい」と感じることができました。また、昔話絵本についても、かつては「語り」によって広まった昔話も、現代では生活様式も変わり昔は使用されていた道具などが、言葉だけでは子どもたちに伝わらないことがあり、「絵」で表現することの重要性についても言及されました。受講生の皆さんもたくさんの絵本や作家の秘話などを心から楽しんでおられるようでした。

続いて、大久保広子さんから「絵本講師・養成講座」の学び方についてのお話があり、その後のグループワークでは、講演の感想や課題リポートについての意見交換が活発になされ充実の一日となりました。

(だいちょう・さきこ)

大長 咲子
大長 咲子