2025年9月20日(土)
第22期「絵本講師・養成講座」東京会場 第3篇が9月20日(土)、飯田橋レインボービルにて開催されました。講座が始まるまでの時間、書籍コーナーにはたくさんの受講生が並び、どの絵本にしようかと迷っている様子も微笑ましく感じられました。
午前は飫肥糺氏の講演「SDGsの進捗と世界の子どもたち……。」です。2030年までの達成を目標にかかげられた17の項目。これらは「環境」「社会」「経済」の3つに分類することができますが、まず世界中で起きている自然災害について取り上げられました。大国が経済を発展させることを優先し科学が発達した結果が地球温暖化を引き起こしているとのお話の中で、特に問題にしなくてはならないのが「核」の問題であること。また、女性科学者たちの「平和を守る」という考え方がクローズアップされていないことにも触れられて、最初に紹介された絵本が『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(くさばよしみ/編、中川学/絵、汐文社)です。朝のニュースで聞いたばかりのことや朝ドラも話題にされて、毎日のように世界中で起きている戦争、紛争に思いをはせられ、このような中で貧困、不平等、教育等の様々な問題が起こっているのではないか、今の世の中の風潮が、子どもたちを追い詰めているのではないか、とのお話がありました。そして、LD(学習障碍児)が主人公の『ありがとう、フォルカーせんせい』(パトリシア・ポラッコ/作・絵、香咲弥須子/訳、岩崎書店)を紹介してくださいました。
多岐にわたるお話で、予定していた時間を少しオーバーしましたが、最後に『お母さんのきもち』(新川和江/詩、小学館)から「あかちゃんの目」を朗読されて講演が終わりました。
午後の講演は、とよだかずひこ氏の「でんしゃにのってももんちゃんがやってくる―自作を語る―」です。演台に置かれている紙芝居の舞台が、受講生の皆さんのわくわく感を盛り上げていきます。紙芝居を演じる場合は、「場」を作ることがいかに大切かというお話をされてから、いよいよ紙芝居が始まりました。
『はい、タッチ』(とよだかずひこ/脚本・絵、童心社)をはじめ、ご自身の紙芝居を3作続けて演じてくださり、会場はその魅力に引き込まれていきました。野球を通して地域の子どもたちと築いた関係性から生まれた紙芝居のエピソードや、ももんちゃんやバルボンさんにつながる思い出などたくさんのエピソードをうかがうことができました。『どんどこももんちゃん』の読み聞かせを聞いた中学生からの感想文には、会場から思わず笑い声も聞こえてきました。
子どもたちの心に寄り添いながら作品を生み出しているとよだかずひこ氏のお人柄に触れることのできた講演でした。
グループワークが始まる前に、大久保広子さん(東京5期)から*読み聞かせボランティアと絵本講師の違い*著作権について*テキストの改訂版についてのお話がありました。
11月にまた受講生の皆さまとお会いできることを楽しみにしています。