2025年05月18日(日)飯田橋レインボービル
「 絵本講師として誰かの心をふっと軽くできるような存在になれたら……」
中田 朋子
受付
2025年度第1回「絵本講師の会」(はばたきの会)東京交流会が2025年5月18日(日)、飯田橋レインボービルにて開催されました。46名の絵本講師が集い、中田朋子さん(東京7期)の司会で始まりました。
森ゆり子理事長のあいさつから始まり、参加者一人ひとりの自己紹介がありました。
後藤 修平 氏
その後、童心社社長であり、絵本講師でもある後藤修平さんより、「はじめまして紙芝居~たのしく演じるコツと歴史」と題してご講演をいただきました。
後藤さんのお話によると、あるフランス人が紙芝居舞台を見て「これはまるで魔法の箱だ!」と表現されたそうです。確かに目の前に置かれた紙芝居舞台は、三面の観音開きのせいかその佇まいにどこか神聖さを感じました。
ご講演の中で後藤さんが、『ごきげんのわるいコックさん』(まついのりこ/脚本・絵、童心社)という紙芝居を演じてくださいました。舞台の扉を一枚一枚開いたとき、その神聖な舞台から、かわいらしいオジサン登場! その意外性に惹かれ、これが紙芝居のもつ“求心力”だと感じました。
私の母は紙芝居師であり、紙芝居は子どもの頃からとても身近な存在でしたが、演じ手側の紙の抜き方や、演じやすいように紙芝居自体に工夫が施されていることを知り、紙芝居の奥深さをここまで丁寧に学んだのは初めてで、とても学びが多かったです。
特に心に残っているのが、「絵本は個性を育み、紙芝居は社会性を育てる」という言葉です。絵本は、読んでもらうと感性が育まれるのに対し、紙芝居は、隣の人の笑顔や反応を感じながら、みんなで同じ空間を共有する。そこには「人と一緒に楽しむ」喜びがあり、他者を意識する心、社会の中で生きる力が自然と育まれていくということだと知りました。
こうした後藤さんの話や実演を通して、紙芝居は人と人とをつなぐ、あたたかな文化だということを感じました。これからは私自身も母を見習って、この文化を広めていきたいと思いました。
大長 咲子副理事長
池田豊中支部:多本 ゆき枝
南大阪支部:村瀬 恭子
足立埼玉支部:加﨑湖都美
午後からは、大長咲子副会長(芦屋1期)から「はばたきの会」会則説明があった後、各地にある10ほどの支部から各々の活動について紹介がありました。
舛谷 裕子 理事
その後、舛谷裕子さん(芦屋3期)より、「講座をする前に」と題して、広報活動する際の準備物や、講座が決まった際の流れなどの説明がありました。
藤井 勇市 顧問
藤井勇市顧問による「絵本講師の心構え」と題したお話では、消費税、SDGs、原子力発電、新型コロナによる社会の分断など具体的な事例を挙げながら、絵本を読む大人自身が、世の中で何が起きているかに関心を持つことの大切さを説かれました。私たち絵本講師は、社会で起こる出来事に目を向け、自ら調べ、どう行動するかを問い続けるべきなのだと、気づかされます。
未来を担うこれからの子どもたちに、希望が持てるような社会にしなければならないと、身が引き締まる思いがしました。そして、「読み聞かせをする上で、相手に対する畏怖と敬意を忘れてはならない」という言葉も印象に残っています。子どもの心に寄り添うその時間は、ただ楽しいだけではなく、人の心と向き合う行為だからこそ、常に謙虚で真摯な気持ちで向き合う姿勢が求められているのだと感じました。
最後はグループワークの時間でした。同じグループには、現役の助産師として働きながら、勤務中に絵本講座を開き、絵本を通して子育ての楽しさを伝えている絵本講師の方がいらっしゃいました。お話を聞いて、私は思わず「こんな助産師さんが私の産院にいてくれていたら……」と感じました。というのも、私自身、産後の環境の変化にうまく適応できず、つらい時期を過ごした経験があるからです。そんな中で絵本の読み聞かせをしていると、不思議と心が軽くなり、少しずつ子育てを楽しめるようになっていきました。あの頃に絵本の力をもっと早く知っていたら、どれほど救われただろうと思えてなりません。
だからこそ、現場で実際に行動しながら、お母さんたちに絵本の力を届けている先輩の姿に感動しました!
子育てに悩んだり、ふと心が弱くなるような瞬間に、そっと寄り添ってくれる絵本。そして、その力を伝える人が身近にいるだけで、救われるお母さんたちはきっとたくさんいるのだと思います。
私も、絵本講師として誰かの心をふっと軽くできるような存在になれたらと、そんな思いがいっそう強くなりました。これからもその気持ちを胸に、丁寧に歩んでいきたいと思います。(よしい・りえ)
第1回 絵本講師の会(はばたきの会)東京交流会交流会リポート 吉井理絵(東京21期生)