中国新聞

「中国新聞」
2011年03月06日(木)

地域発 活字の世界
愛情伝わる読み聞かせ

 「絵本は買い与えるだけではだめ。読み聞かせてあげるものだと思ってほしい」と森さん

江田島出身 森さんの絵本の薦め

 江田島市出身で、 NPO 法人「絵本で子育て」センター理事長の森ゆり子さん=兵庫県芦屋市=が、広島市中区であったラボ教育センター中国支部の研修会で講演した。「絵本を読んであげましょう」と題し、実際に「ちびゴリラのちびちび」(ほるぷ出版)「いいこってどんなこ?」(冨山房)などの絵本を読み聞かせながら、その効用について語った。

 近年、母親たちから「子どもに愛情を伝えるため、どう言葉をかければいいかわからない」という話をよく聞くという。例えば、「ちびゴリラのー」には文章に「大好き」というフレーズがたくさん出てくるので、「絵本の読み聞かせだけれど、子どもは自分が『大好きだよ』と言われているのと同じ気持ちになれる」と語った。

 また、絵本の読み聞かせは勉強のためではなく、温かい時間を親子で共有するためにあるという。「読み聞かせた後、すぐに感想を求めないこと。子どもは、次から『何かきかれる』と思って、絵本の世界に入り込めなくなってしまう」と指摘。絵本を選ぶ際は「大人の目でしっかり吟味を」と、一つの目安として、発行から 20 年以上たつ絵本を薦める。

 能美島の旧大柿町で生まれ、高校時代まで島で過ごした。書籍販売会社勤務を経て、絵本で子育てする楽しさを伝えようと 2004 年に同センターを設立、芦屋市や東京都内で「絵本講師・養成講座」などを手掛ける。

 少子化、核家族化が進み、一人で子育てに悩む母親が増えている。「絵本には、子どもの心を育てる大切なことがたくさん詰まっている。子育てが大変なときこそ、絵本が手助けしてくれる」と話していた。(伊藤 一亘)

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