ハロー朝日

ハロー朝日〈第168号〉
2007年5月1日

篠山丹波 人国記
絵本セラピストを目指す
上山恵美子さん(57) 丹波市柏原町
心の苦しみを受け止めて絵本のパワーで癒したい

 このほど、NPO法人「絵本で子育て」センターが主宰する絵本講師・養成講座を修了した。定員70人で、絵本作家や画家らを講師陣に、1年間5回にわたって講義を受ける。会場の芦屋へ出向いての参加だった。

 大阪教育大学を卒業して西宮で12年間小学教諭を勤めたが、家庭の事情と過労による病気で退職し、夫の故郷へ転居してきた。20年近くの闘病生活で一番必要だったのが自分の悩みやつらさを聞いてくれる誰かだったと言う。教師のころから見えない学力として読み聞かせを始め、退職後も自宅であおぞら文庫を開くなど、絵本と接してきた。「しんどいとき、いつかきっと、いい日が来るからと絵本が語りかけてくれました」と上山さん。

 絵本のすばらしさを伝えたいと思い始めたのは、柳田国男の著書「砂漠で出会った一冊の本」だった。「自分にも何かできる」と夢が持てる出会いとなった。少しずつ体力が回復し、3人の子供たちがひとり立ちした3年前、湊川短大の幼児教育・保育学科専攻科を修了した。心理学を勉強し、全国大学実務教育協会認定のカウンセラー実務士の資格を取得するためだ。絵本セラピストとしても役立つ学びとなった。

 短大を終え、社会復帰できるラストチャンスと講座を受講した。「読み聞かせの歴史や絵本講座の組み立て方、良い絵本の選び方など絵本の奥深さに触れることができました」と振り返る。子への読み聞かせだけでなく、挫折して立ち直れない人や悩みがある人たちに絵本の持つ力で癒したいと考えている。「大人が絵本なんてと思われるかも知れませんが、絵本には無限の力があります。恥ずかしがらずいつもそばに置いてほしい」と。
  今後は、企業や本屋の店頭などで読み聞かせしたいと夢を持っている。

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