第 7 期「絵本講師・養成講座」芦屋会場の開講式が 4 月 24 日、芦屋市のラポルテホール 3 階の特設会場で開催されました。 75 名の受講生、そして 10 名の特別聴講生(第 6 期生)の緊張感がラポルテホールの会場一杯に広がり、私も昨年受講したときの初心を思い出していました。そして、もう 1 年気持ちも新たに受講生の皆さんと一緒に学べる喜びを噛み締めていました。
まず、はじめに、本「絵本講師・養成講座」はこれまでに約 800 人の絵本講師を送り出し「町を歩けば絵本講師にあたる」と願う森ゆり子理事長のあいさつで開講式が始まりました。
回を重ねる毎に若々しく穏やかに素敵になっていくこと、絵本を学ぶことで子どもの心を取り戻せること、などをお話していただき、ますます本講座に対する期待で胸が一杯になり、皆さんの表情も明るくなりました。
続いて、絵本講師の加藤美帆様(第 3 期生)より「絵本を通して親子の心は繋がっていきます。また、講座の前の日はよく睡眠をとることが、講座に集中できる秘訣です。この 1 年間ゆたかな時間を過ごしてください」と励ましをいただきました。
はばたきの会副会長の井下陽子様(第 1 期生)からは「今、この不安な世の中で、絵本講座で学べるということのすばらしさ、講座を受講しリポートを作成するという自分だけの時間を持てる贅沢を味わってほしい」とお祝いの言葉をいただきました。
第 7 期生の皆さんは、実際に絵本講師として活躍されているお二人の言葉を聴き、これから始まる 1 年間の「学び」に思いを馳せられたのではないでしょうか。
最後に、こぐま社社長・吉井康文様からご祝辞をいただきました。
氏は、3 D 絵本など電子メディアの子どもに与える影響などが検証されないまま行き渡っていることに危惧を示され、肉声で子どもに絵本を読むことの大切さを強調されました。現在は 1 対多数の読み聞かせが流行っているが、 1 対 1 での読み聞かせの意義を多くの人に伝えてほしい、と受講生に語られました。
また、特別プレゼントとして『にんじんのたね』の読み聞かせをしてくださいました。受講生の緊張感が一気に緩んだように感じました。
開講式の後はグループワークです。 9 組に分かれ、自己紹介、リーダー、サブリーダーを決定します。最初は皆さん初対面で緊張気味でしたが、「絵本が好き」「絵本活動がしたい」という共通の思いがこころの垣根を取り払い、 5 分も経てば初対面とは思えないほど話が弾んでいました。これからのグループワークがとても楽しみです。特別聴講生は各グループに入ってオブザーバーとして 1 年間、一緒に学びます。
午後は中川正文先生の記念講演です。
絵本を仲立ちにし、同じ平面で、同じ感動、経験をする――。
絵本を読む行為とは、「大人は大人なりに、子どもは子どもなりに感動」し共に成長するものである、という絵本(読書)活動の原点を熱く語られました。
また、子どもたちに「絵本を届ける」ということは、教育ではなく子どもと同じ目線に立ち、「一緒に成長する」ことであり、決して絵本(読み聞かせ)は下ろしたり与えたりする活動ではない、と学校教育との明確な違いを話してくださいました。
最後に『すみれ島』(今西祐行 / 文・松永禎郎 / 絵、偕成社)を力強いお声で朗読(読み聞かせ)していただきました。私は、この『すみれ島』は何度も聴き、何度も読んでいて内容は知っているのですが、中川先生の語られる『すみれ島』は、なぜこんなに涙が溢れるのでしょうか。広い会場のあちらこちらから嗚咽が漏れてきました。
これこそが会場の中にいる 100 人近い人たちが同じ平面で同じ感銘を受け、共に成長することだ、と実感しました。
私は中川先生の『すみれ島』をお聴きして、同じ過ちを二度と繰り返してはならないと思い、戦争で尊い命が奪われた歴史を、「決して忘れてはならないよ」と語られる先生のお声(言葉)が心の奥底に積もっていくようでした。
午後のグループワークは、本講座の専任講師・藤井勇市氏より、講座の取り組み方・参加の仕方などについての説明がありました。また、「学ぶということは、学べば学ぶほど疑問が前に立ち現れてくる」のがこの講座の特徴で、他のカルチャーセンターとの違うところです、と述べられました。
自分がいかに物事を知らないかを自覚しながら謙虚な気持ちで、この 1 年学びたいと思いました。
次編は 6 月 12 日(土)。皆さん再会を楽しみに帰路に着かれました。
(まき・ゆか) |