絵本を読んであげましょう
第11期「絵本講師・養成講座」東京会場第4編は2014年9月20日(土)、飯田橋レインボーホールにて開催されました。
今回の講演は、森ゆり子理事長の絵本講座の実演と、川崎医科大学名誉教授・片岡直樹先生の講演です。森先生の講座は、3年前の受講以来だったので、とても楽しみしていました。
「絵本で子育て」(絵本講座の組み立て方)と題しての講座は、「絵本を読んであげましょう」という副題。保育所の保護者を対象にという設定でした。「お仕事や家事や育児など毎日忙しくさていると思いますけれど、どうかゆっくりと聞いてくださいねという言葉から始まりました。
「大好きだよ」という優しい言葉が何度もでてくる『ちびゴリラのちびちび』。1967年に発行されて以来、日本で一番読まれている『いないいないばあ』。
いつも自分を見守ってくれる人がいるという自己肯定感を育てることがいかに大切なことなのか。絵本を読むことは、子どもたちに愛を伝えることにもなる。
絵本講座で伝えていきたいメッセージが受講生にも確かに伝わり、涙する姿も見られました。
講座の中で話されていた、日本青少年研究所の調べによると「自分のことを駄目な人間だと思うことはあるか」という問いに、「あてはまる・まあまああてはまる」と答えた高校生が83.7%もいたそうです。そして「親は自分をよく叱るか、「親は褒めたり励ましたりしてくれるか」との質問にも、日本の親達は「よく叱り、めったに褒めない」いという結果が出ていました。
子どもたちが困難にぶつかりつらく悲しいことがあったとしても、また立ち上がっていくことができるかどう かは、小さい頃にいかに親子で楽しい時間を過ごしてきたか、が大切なことです。そのときの楽しい思い出がよみがえってくれば、これからも幸せになりたいという気持ちを持つことができるはずです。
森先生の講座を聴きながら、今すぐ家に帰って息子をしっかりと抱きしめたくなりました。「毎日、心を揺さぶってあげて、子どもに生きる力をつけてあげてほしい」。心で聴いた絵本講座でした。
そして、午後の講演は、川崎医科大学名誉教授、片岡直樹先生です。
全国から相談にこられる子どもの言葉遅れや発達障害など、5000人以上の子どもの成長を見てこられた先生の言葉は説得力がありました。
講演では、生まれてからテレビをずっと追い続けてきたお子さんたちの発達についてお話してくださいました。「テレビやスマートフォンに子守りをさせるのではなく、スキンシップと言葉がけで子どもたちを育てる」、それがどれだけ子どもたちの成長に影響があるのかを、実際に映像で見ると説得力があります。
ただ、今の時代、スマートフォンやテレビを排除するのは非常に難しいことでもあるので、親が責任をもって子どもたちに対応していかなければいけないな、と感じました。
片岡先生がおっしゃっていたことで一番印象に残ったのは、「子どもは失敗をして大きくなる」ということでした。
3つの体験を通して学ぶこと。
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挫折などの困難体験をしっかりとさせていく。
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何でも買い与えてしまう現代では難しい欠乏体験をさせる。
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家の中での役割を与えて、お手伝いをさせる勤学体験をさせる。
この3つは、脳の前頭前野で作られていく経験だということです。
午前中の森先生の講座でお話しされていた「心を揺さぶって、生きる力をつけるということと、片岡先生のおっしゃった「いろいろな体験をさせて前頭前野を刺激する」ということは、子どもの心と身体を生き生き と動かして柔軟に今の時代を生きていくのに一番必要なことだと思いました。
そこで、絵本がどのような役割をするのか。伝えていくのは絵本講師次第です。非常に学びの深い聴講でした。(さわ・みよこ)
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