11月18日(土)東京会場第4編「絵本講師・養成講座」が開催されました。
午前の講座は、絵本作家のしみずみちを氏。「読み聞かせでつく言葉の力」と題して、ご自身の絵画教室を通して経験されたこと、子ども達、そしてご自身も好きな沢山の絵本の紹介や読み聞かせ、最後には質疑応答の時間まで入れて、卒直な、ありのままの言葉で話されました。
「〜のためになど頭で考えないで、読み手と聞き手が1つになる至福の時を、ただ味わい喜んで欲しい」という氏の一言は、読み聞かせの原点に立ち返るような言葉で、ホッとした気持ちになりました。
情感豊かに、時には涙声で読まれた絵本の数々からは
「相手を思いやり、すべてを受け入れられる人間になりなさい」
と言われているようで、氏のスケールの大きさを思い知った気になりました。
「どんな場でも、難しく考えないで、笑みをたたえて」というメッセージからも、氏の暖かい心は、受講生に確かに伝わったのではないかと思います。
午後の講座は、予定されていた岸本裕史氏がご病気となられたため、遠山真学塾主催の小笠毅氏。「絵本の中の“数の不思議”」と題し「3匹のくま」(レフ・トルストイ作)の絵本を中心にご講演いただきました。
絵本には3という数字がよく出てくること。ゼロを教えない現在の算数からは、考える力は湧いてこないということ。
正解はなくても「なぜだろう」
「わかるってどういうことなのだろう」と考えることの大切さ。
計算やドリルを沢山やるより、子どもには食卓の準備など手伝いをさせたほうが脳は鍛えられるなどの話をされました。
「3匹のくま」には、3という数は勿論、大中小、器とスプーンの1対1対応、ベッドの中は空っぽで0人であることなど数がふんだんに入っていることを話され、数学と絵本を結びつけて考えることのなかった受講生の間からは驚きの声が上がっていました。
数学という方面から、絵本を考えるという珍しい講演を聞き、物事をいろんな角度から見ること、何故だろうと考えることの大切さを改めて感じました。
今は数学を本業とされる氏の口から、絵本は命に対する保険であること、知の源泉地であること、自分の原点捜しであるなどの言葉をお聞きしたことが大変印象に残りました。
グループワークでは、藤井専任講師より、前回の講演者の片岡氏の自閉症(もどき)に対する解釈の補足・説明の後、課題なしのフリートークをしました。
誰に向けて絵本講座をしたいか出し合いながら、講座終了後も年に1度はメンバーで集まろうとの声で盛り上がったグループもありました。
(なかた・ちかこ/絵本講師) |